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じわりと迫る「悪い」物価上昇 日銀政策に手詰まり感強まる 資源高騰、円安が輸入物価押し上げ

(黒田東彦日本銀行総裁)


日本銀行は18日、22年度の物価上昇率の見通しを前回(21年10月)より0.2ポイント幅引き上げ、前年度比+1.0%~+1.2%に改定した。


主な要因は原油・原材料、穀物の国際価格の上昇による石油製品や金属製品、電気食品の値上がりだ。2020年12月の消費者物価指数(東京都区部)は前年同月比で0.8%の上昇となっており、じわじわ生活にも影響し始めている。(総務省)


気がかりなのは、企業の間で取引されるモノ、サービスの価格動向を示す国内企業物価指数が前年比で5%程度上昇していることだ。


原油価格の上昇傾向は続いており、足もとでは中東情勢の不安定化を懸念して1バレル=86ドルと7年ぶりの高値をつけている。


今後、企業物価の上昇がじわじわと消費者物価を押し上げる可能性がある。


岸田首相は今春闘での賃上げを要請しており、大企業経営者(経団連)側もこれに応える姿勢をみせている。(「連合」は定期昇級と基本給引き上げで4%アップを要求)


大企業労働者は物価上昇分を差し引いた実質所得が増えるかもしれないが、留意すべきは労働組合の組織率は年々下がる傾向にあり、17.1%にとどまっていることだ。


賃上げのない労働者、不利な賃金で働く非正規社員にとってじわじわと上がる物価は脅威だろう。また、岸田首相が重視する中間層の中で、所得格差が広がることになる。


日銀はいわゆるアベノミクスのもと、物価上昇率2%をデフレ脱却の目標に掲げてきた。


超低金利・量的緩和政策(プラス政府の財政出動)で景気を上向かせ、国民所得が増えて物価が上がり、めでたくデフレ脱却――ということだと筆者は考える。


輸入物価が上がり国内物価が仮に2%上がったところで、賃金が増えなければ日銀の政策がようやく実を結んだとはだれも思うまい。


輸入物価上昇は、超低金利政策による円安(ドル高)が増幅した側面もある。米国は金融引き締めに向かっており、今後日米金利差が開くと円安が一段とすすむ可能性がある。


それを考えても、日銀の「異次元の金融緩和」はいよいよ限界をみせている。


黒田総裁の今任期は23年4月。一部に途中辞任説もあるようだが、それは「政策の失敗」を認めることになるので、あり得ないと筆者は考える。
(日銀もひとつの官僚組織である)


黒田総裁が任期まで続けるとして、長期国債や株式まで買い込んだ、行き過ぎた超低金利と量的緩和の正常化に向けた道筋をつけることは必須だろう。

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