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ドル円 一気に128円台に どこまで続く黒田日銀総裁 「円安はプラス」の我慢

(TRADING VIEW FXCMのドル円の推移=19日正午過ぎまで。ロシアのウクライナ侵攻後3月初旬から円安の動きが顕著になった。ドル高円安には有事のドル買いもひとつの要因と思われる。)


18日のニューヨーク為替市場で米国の長期金利上昇(日米金利差拡大)から1ドル=127円台の円安水準となった流れを受けて、19日の東京市場は、前日比1円を超す円安がすすみおよそ20年ぶりとなる1ドル=128円台の円安水準となった。


前日の国会(衆院決算行政監視委員会)で、鈴木俊一財務相は「いまの円安はよい円安とは言えない。どちらかと言えば悪い円安ではないか」との見解を示した。「(物価上昇分をカバーする)賃上げが不十分」とも述べた。


同じ委員会に出席した黒田東彦日銀総裁は「急速な円安の場合はマイナスが大きくなる。企業の事業計画の策定に困難をきたすおそれがあり、そのマイナスも考慮しなければならない」と述べた。


この発言は鈴木財務相の発言に合わせたものとみられる。一方で、黒田氏は「円安は(日本経済)全体としてはプラスという評価を変えたわけではない」と持論を述べた。


また、エネルギー価格の高騰で経済に下押し圧力がかかっている現状では、景気を支えるため「金融緩和を続けていくことが妥当だ」との見解を改めて示している。


自動車(部品を含む)など国内の輸出産業に円安の効果が出て、輸出の増加となり企業業績や賃金・雇用が上向けば「総体ではプラス」ということになるかもしれない。


ここで問題なのは、プラスが出るより前に、鈴木財務相がいうような、「悪い円安」が起きることだ。


円安によりエネルギーや原材料価格が一段と上昇し、企業収益や家計を圧迫することになれば、景気の停滞ー下押しとなる。


足もとでは残念ながら、今年2月の貿易収支は7ヶ月連続で赤字となっている。エネルギーなど原材料価格の高騰が大きいが、輸出が半導体の供給不足などで伸びていないこともある。


3月以降はウクライナ戦争勃発に伴う、エネルギー価格の一段の上昇、世界貿易への影響が考えられ、貿易収支が改善に向かうかどうかは見通せない。


日本の最大の輸出相手国である中国は、新型コロナの感染拡大に伴う上海など都市のロックダウンを行った。情報が限られておりわからないことも多いが、中国経済にあたえる打撃も無視できない。


市場では当面、1ドル=130円台の水準を目ざす動きになるとみられている。


為替介入を決めるのは財務省(財務官)で、鈴木財務相の「悪い円安」発言は、市場介入への警戒感を呼ぶと思われる。
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