知床観光船遭難 なぜ1隻だけ強風・波浪注意報下に出港 命 奪った低水温
(気象庁ホームページより 日本近海の海水温=2月23日の部分図 オホーツク沿岸、知床半島沿岸は3度のラインがある)
北海道・知床半島沖の観光船「KAZU 1(カズ・ワン)」の事故は、25日午前の時点で乗客・乗員26人のうち11人が見つかったが、全員の死亡が確認された。
この時期、気象庁の海水温分布図によると、知床半島付近の海水温は3~5度程度だったとみられる。
海上保安庁の水難対策の資料によると、海水温2度から4度の時は生存予測時間は1時間30分以下、4度から10度のときは3時間以下とされる。
4月23日午前10時にを出港した。午後1時18分には「船首が浸水している」「エンジンが使えない」とカシュニの滝付近から118番通報(海難救助要請)があった
午後4時半ごろには海上保安庁のヘリコプターが現場付近に到着、捜索したが船体も人も確認できなかった。
船が沈没したあと、乗っていた人たちは、救命具を付け浮くことはできても、冷たい海水に浸かっている状態が続き、低体温症で意識を失っていったと思われる。
(海上保安庁作成 Winter Report 2017より)
この日、斜里町・ウトロ港に4社ある観光船で運航したのは、「KAZU 1」の1隻だけ。
23日は波浪注意報や強風注意報が出ていた。朝から漁に出た漁船は天気が悪くなるのを見越して、正午ごろには多くが帰港したという。
地元の人は低水温の海で遭難したときの恐ろしさは十分知っているだろう。なぜ、「KAZU 1」は出港の判断をしたのか。
KAZU1の運航会社は報道各社の取材に応じていないようだ。