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石炭火力廃止 COP26、40カ国超同意 新聞3紙読み比べ


石炭火力廃止 COP26、40カ国超同意 新聞3紙読み比べ
読売、日経は中印などの不同意にも言及 朝日見出しは「世界は脱石炭 日本賛同せず」


読売新聞は、5日付朝刊一面で、「英国グラスゴーで開かれたCOP26(国際気候変動枠組み条約締約国会議)で4日、46カ国地域が石炭火力発電所の廃止を目ざすことで合意した」と伝えた。同日付日本経済新聞は2面で、「議長国英国が発表した声明に46カ国が賛同した。」と報じた。朝日新聞は3面で「世界は脱石炭火力」「日本賛同せず」との記事を掲載している。朝日新聞、読売新聞、日経新聞の3紙を読み比べた。


読売新聞、日経新聞は、今回同意に加わらなかった、産炭国で世界最大の石炭火力能力を持つ中国や、やはり産炭国で石炭火力依存度の高いインドなどにそれぞれ取り上げているが、朝日新聞の記事は中印二国については「地元メディアによると米国や中国なども入っていない」と触れているだけである。朝日の記事によると筆者は3記者だがだれも直接取材はできていないようだ。


読売新聞は「石炭火力の廃止に賛同しなかった国の現状」として、日本をはじめ,中国、インド、豪州の4カ国の現状を表にまとめている。日経新聞はドイツ、スペイン、英国など脱石炭のすすむ欧州各国に、インド、中国、石炭産出のインドネシア、フィリピン、日米など12カ国の石炭火力依存率や、石炭依存度の低減・廃止目標を表にして載せている。
朝日新聞は4日朝刊の記事で、G7各国の石炭火力とエネルギー基本計画に基づく「日本の電源構成」の表を掲載している。筆者は準備が足りなかったか、他国の事情には関心がないかのいずれかと考える。(G7だけで比べる時代は過ぎた。)


日本の事情については、読売新聞は「災害や事故で電力不足に陥っても、欧州のように近隣各国から電力の融通をうけることができない。島国のため、送電線が他国とつながっていないためだ。原子力発電所の再稼働が遅れていることもあり、石炭火力を即座に廃止することは難しい。」と書いている。


日経新聞も「日本は電源の3割を石炭火力でまかなうが、30年度も発電量の2割弱をまかなう計画で廃止目標はない。福島原発の事故以降、原発の再稼働が進まず、再生可能エネルギの導入も遅れているためだが、世界からは石炭火力の縮小に後ろ向きとひょうされている。」と原発再稼働の遅れを書いている。


朝日新聞の記事には、原発稼働についての記述は1行もない。(エネルギー計画の表にはある)


朝日の記事には経産省幹部が登場するが、「譲歩はあり得ない」と言っている。原発再稼働のことかと思ったら「電源にしめる石炭火力発電の割合」のことで原発のことではないらしい。


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蛇足 朝日の記事はグラスゴーまで行って書かなくても東京で書ける話である。
紙面で脱原発を主張する手前、原発の再稼働問題に触れたくない、というわけではないだろうが、日本に限った視野の狭さが気になる。(個人的感想です)


蛇足2 朝日新聞3日付朝刊2面で中国について「経済重視、米欧を牽制」との見出しで脱炭素の取り組みを紹介している。米ロについても取り上げている。(3日付け1面の記事ではモディ・インド首相の発言も伝えている。)


蛇足3 この提案はジョンソン英国首相がおこなった。朝日新聞は「議長国の英国がエネルギーデーと位置づけた4日、英国主催のイベントで石炭火力についての声明が発表され、40以上の国が賛同した」とある。ジョンソン首相の国内向けアピールという側面もあるのではないか。


蛇足4 英国の石炭火力発電所は炭鉱のあった内陸に立地しており、運搬費用がかかり、コスト高になっていた。また北海油田の産出量(英国権益)はピークを過ぎたとみられており、その点からも脱カーボンの電源確保が迫られていた。

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