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COP26「ガソリン新車2040年ゼロ」英など23カ国同意のウラ

COP26「ガソリン新車2040年ゼロ」英など23カ国同意のウラ
7月に、よりきびしい規制を欧州委が提案



新聞各紙は11日朝刊で、英国で開かれているCOP26(国連気候変動枠組み条約締約国会議)で、英国など23カ国が2040年までに世界の新車販売を電気自動車(EV)など、二酸化炭素(CO2)を出さない「ゼロエミッション車」にする宣言に「23カ国や大手メーカー6者が署名(合意)した」(朝日新聞3面)と報じた。


宣言の実効性について、毎日新聞、日経新聞は中米日欧の世界の主要自動車生産国が加わっていないことなどから、疑問を呈している。


EUについていえば、自動車生産国であるドイツ、フランス、イタリアも宣言には加わっていない。


筆者は、今年7月にEUの行政府の欧州委員会は2035年にガソリン車の新車販売を、ハイブリッド車(HV)も含めて事実上禁止する案を発表したことと関連があるとみている。


EU提案は、英国案(宣言)よりよりきびしい内容で、独、仏それに伊はそれより緩い案に加わる必要がないと判断したとみている。


英国のEU脱退を主導したジョンソン首相には、欧州委提案が念頭にあったとみるべきだろう。


EUはそれより前、2020年から21年にかけて自動車エンジンから出るCO2にきびしい排出規制を導入している。域内で販売する新車(乗用車)1台のCO2排出量について、全社平均で一定値(走行1キロメートルあたり95グラム)以下にしなければならない。目標未達のときは罰金を支払わなければならない。(実際、フォルクスワーゲンはわずかに及ばず今年1月、円にして130億円の罰金を払った。)


注目されるのは、米カリフォルニア州、同ニューヨーク州の2州が宣言に賛同していることだ。(筆者は2州、あるいはロサンゼルスとニューヨーク市は、米国自動車文明を象徴しているように思う。)


米ニューヨーク州のホークル知事は9月8日、2035年までに州内で販売するガソリン車を全廃する目標に署名した。


前年の20年9月には米カリフォルニア州のニューサム知事が2035年までに州内で販売される全ての新車を排ガスを出さない「ゼロエミッション車」にするよう義務づけると発表した。(知事の命令を受け、同州の大気資源局が規制をつくることになる。)


トヨタ、ホンダ、日産の自動車大手3社は中国、米国、欧州で現地生産しており、輸出車を含めてかなりの市場シェアを持っている。(ホンダは21年中に英国生産から撤退)各社ともCO2を出さない水素電池自動車(FCV)、EV化については、(新聞に言われるまでもなく)浮沈をかけて取り組んでいるに違いない。


毎日新聞は、この宣言にトヨタなどが得意とする「ハイブリッド」を締め出そうとする意図があるとの見方を示しているが、これは見当外れである。そもそも、英国の自動車産業は高級車とスポーツカーを残すだけで、英国で量産車を生産しているのは、日本系、欧州系、米国系である。その点、EV化を主張しやすくなっていると筆者はみる。なお、英国高級車の代名詞ともいえる、ロールスロイス(ロールス・ロイス・モーター・カーズ)は2030年までにすべての製品を電動化することを表明している。


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蛇足:国内のEV化の取り組みが遅いと言われるが、日本ではいまのところCO2フリーでコストが安い水素をつくる手段がない(技術はある)、火力発電メーンで電気を作るのにもCO2発生は避けがたく、しかも電気料金そのものが高いため、早期の全EV化は難しいと考える。(これは経済部、科学部の記者なら承知のことと思われる。)

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