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黒田総裁「辞めるつもりはない」「緩和策が円安・物価高招いた」責任問われ 衆院予算委で


「辞めるつもりはない」――18日の衆院予算委員会で、野党議員から「日銀の長年の異常な金融緩和政策が円安・物価高を招いている。失敗の責任をとって即刻、退任すべきだ」と迫られたのに対し、黒田日銀総裁が「金融の量的・質的緩和はデフレ脱却に効果があった。辞めるつもりはない」とやや語気を強めて反論する場面があった。


質問者は階猛議員(立憲民主党・無所属)で、円安を抑えるため、政府が円買いドル売り介入をする一方、日本銀行がマイナス~ゼロ金利を許容する超金融緩和を続けていることについて、「市場から円資金を吸収する円買い介入と、市場に円資金を供給する金融緩和は矛盾する。金融政策を改める時期だ」と指摘した。


さらに、「金融緩和をはじめた2013年に黒田総裁は、『物価だけ上がって賃金が上がらないということはない』と言っていた。その後10年近く、緩和の度合いを強めてきたが、現状は賃金が上がらないのに、物価は上がっている。異次元の緩和策の失敗は明らかだ。」と述べて、黒田総裁に責任をとって退任するよう求めた。


これに対して、黒田総裁は「大規模な緩和策で日本はデフレから脱却し、経済成長や200万人の雇用増など効果があった。失敗したというのは事実に反する」と反論、「辞めるつもりはない」と答えた。


為替の円安については、日米の短期金利差が影響している点は事実としたが、「日本以外の通貨もドルに対して下落している。このままドル高が続くと考えている人はワシントン出張時(G20財務相中央銀行総裁会議)に会った人の中にほとんどいなかった」と述べ、ドル反落への期待をみせた。


すっかり忘れられた感があるが、異次元の金融緩和は安倍晋三元首相が打ち出したアベノミクスの三本の矢のうちの一本「大胆な金融緩和」だった。(ほかの二本の矢は「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」)


黒田総裁が就任する前年、2012年の為替相場は、欧州経済危機、米国の失業率上昇などの影響で一時1ドル=76円台をつける歴史的な円高水準となった。円高デフレの懸念を払拭するため、「異次元の金融緩和」は円高を止め、円安に誘導するねらいがあった。
元大手銀行員の経歴を持つ階議員の指摘はもっともなことである。


黒田総裁は「(異次元の緩和は)失敗ではない」というが、物価上昇は、日銀が守るべき「通貨価値」の下落にほかならない。黒田総裁は、アベノミクスの、ほかの二本の矢、「財政政策」と「成長戦略」が効果がなかったと言いたいのかもしれない。成長の成果が分配され、賃金水準が上がっていれば、インフレによる目減りを打ち消すからだ。


黒田総裁がいう雇用の増加はアベノミクスの「規制緩和」(成長をもたらすはずだった)で、非正規労働者が増えたことが大きい。雇用者総数は増えたが平均的な賃金は下がった。
(それは日銀のせいではないというだろうか?)


アベノミクスへの未練を断ち切って日銀(と政府)が方向転換するには、来年5月の任期切れを待たずに黒田氏が退く方がいいと思われる。黒田総裁には、大胆な金融緩和で「2年で物価上昇率2%を達成する」と約束したことを思い出して欲しい。

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