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黒田日銀のつくった金融オンチ記者 長過ぎた市場操作のツケ

YOU TUBE TBS NEWS DIG より、長期金利0.605% 日銀の政策修正受けて 約9年ぶりの高水準|TBS NEWS DIG - YouTube


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長く低インフレ(デフレ)・低金利状態が続いたためか、物価と金利の関係について大手マスコミ(とくに一般紙)でも間違った認識を持つ記者がいるようだ。一例を紹介すると、日銀が長短金利操作政策(イールドカーブコントロール、YCC)の修正をきめた、28日の読売新聞(電子版)記事だ。


長期金利の上昇、1・0%まで容認…日銀が柔軟運用に転換 : 読売新聞
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記事を引用すると、『日本銀行は28日の金融政策決定会合で、金融緩和策の運用を柔軟化し、長期金利の上昇を現在の「0・5%」から「1・0%」まで事実上、容認することを決めた。経済・物価情勢が好転して金利が上昇しやすいことを踏まえ、金利を抑え込む水準を見直し、市場でお金が円滑に回る環境を作る。』(以下、略)


前段は事実関係で間違いはない。問題はそのあとだ。そもそもの話になるが、長期金利は10年もの国債金利(正しくは利回り)のことをいう。国債はいうまでもなく政府が資金を調達するために発行する。そのコストが金利になるが、長期金利は10年もの国債の金利であって、短期の市場でおカネが円滑に回ることとはさほど関係はない。


長期金利の上限を見直すことと、市場(家計、企業、銀行)でお金が円滑に回る環境をつくるのは、本来、別な話である。


記事で言う、「経済・物価情勢が好転して金利が上がりやすい」は、米国には当てはまる。ただし、物価上昇は通貨価値の毀損であり、中央銀行はそれに対抗しなければいけない。FRB(米連邦準備制度理事会)はインフレを抑え込むため昨年来、政策金利(短期金利)を引き上げているのは知ってのとおりである。


一方、日本は米国と違って、景気が上向かない(賃上げもない)のに、石油・天然ガスや穀物の国際価格の上昇で、物価上昇に見舞われた。日本の賃上げは、物価の後追いになっており、実質賃金はいまだマイナスという冷厳な事実がある。


これは(短期)金利を上げられない要因になる。それで、日銀が長期金利の上限を上げたのかというと、その物価の抑制効果は疑問である。(日銀も物価を抑えるためとは言っていない)


では何のため長期金利(上限)を上げたのかというと、足元の物価上昇率が3%超なのに、金利がせいぜい0.5%の長期国債が売れるかどうか、おぼつかなくなったからだろう。
日銀よりの見方をすれば、植田和男総裁は、金利が市場が決めるという「当たり前の状況」に戻そうとしているのかもしれない。


読売新聞の記事について批判めいたことを書いてきたが、ここまで読んでいただいた方にはおわかりかもしれないが、本当にイケないのは黒田東彦前日銀総裁とその取り巻きである。


どこが間違っていたかは、31日に公表された、2013年1~6月に開いた日銀・金融政策決定会合の議事録を読めば明らかである。これに関する読売新聞の記事は上記記事を書いた記者とは違う方だろう。
「ギャンブル性強い」と懸念も、「異次元緩和」へ黒田氏の決意…日銀会合13年議事録 : 読売新聞


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2013年、黒田緩和が始まったころ、日銀が市場介入して長短金利を下げれば、「景気がよくなって」、2年以内にインフレ率2%を達成すると表明した。(安倍政権との約束でもあった)このときに、手段と目的の不可思議な「逆転」があり、景気好転は実現しないまま、日銀は一時は長期金利までマイナスに突っ込んで(黒田総裁はマイナスの深掘りと言った)、薬石効果なく今に至ったのである。




ネット上には、長期金利が0.5%から0.6%に上がっただけで、企業経営が苦しくなるなどと言っている経済評論家?がいるが、どうかしている。これも惰性で続けた黒田緩和のツケである。

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