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日経紙 「半トクダネ」で市場混乱 ネタ元は日銀資料か 金利操作柔軟化を説明

日本銀行公開資料=イールドカーブの柔軟化について
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日経新聞は28日朝刊一面トップで、「日銀、金利操作を柔軟運用」との見出しで、日銀が同日の金融政策決定会合で、長期金利(10年もの国債金利)の上限を「0.5%に据え置くものの市場動向に応じて0.5%を一定程度超えることを容認する」と政策決定会合の「一部」を報じた。他紙には同種の記事がない、いわゆる「特ダネ」というやつである。


特ダネ記事の常として、ニュースソースは明らかではない。記事には「日銀内で浮上・・」などと書いているが、1面アタマに据えたところをみると、信頼できるニュースソースが、日経新聞にリークしたとみていいだろう。


筆者がリークとみる根拠は、28日の政策会合後に日銀が公表した資料にある。表題に「イールドカーブ・コントロール(YCC)の運用の柔軟化」と、「柔軟」という同じ言葉を使って、同内容の説明をしていることだ。おそらく、日経新聞は、この資料を見た人(持っている人)から、情報を得たと思われる。


ただし、日経記事には資料にある大事な要素が抜けている。日銀の公表資料には、長期金利の上限を1.0%として、「指し値オペで厳格に抑制する」とある。いまは上限0.5%で、これを超えると日銀が(無制限の)指値オペをして国債を買い支えるが、資料はこの「防衛ライン」を1.0%に上げたことを明記している。これが日経記事にはない。


長期金利の防衛ラインを0.5%から1.0%に上げるのは、YCCの柔軟化というより修正となる。実際、植田和男日銀総裁は会合後の記者会見で「柔軟化でなく修正といってもいい」と明確に答えている。


上限の1.0%引き上げを日経新聞が書いていれば完全な特ダネだったのが、残念ながら「半特ダネ」になってしまった。まあ、「上限が1.0%に決まったのは会合2日目、28日のことだから」という言い訳が成り立つのだが・・・。


それにしても、植田和男総裁以下、政策決定会合の面々(9人)は、28日の日経新聞朝刊を目にして、27日に話した「上限0.5%超え容認」があって驚いたのではないか。
情報管理上の問題にもなりうることで、2ヶ月後に出る「議事録要旨」が待たれる。


さて、日経新聞の情報元のねらいはなにか。本丸の「上限1%への引き上げ」でなく、「0.5%超え容認」と、アタマ出し?することで、「地ならし的」効果をねらったのかもしれない。


ところが、中途半端な記事(もとより私見である)は、28日の日経株価を一時800円近くも下げ、為替相場を1円以上円高に押し上げた。「半特ダネ」は地ならしどころか、市場に波乱を起こしてしまった。


28日午後には、日銀がマイナス金利容認のYCCの枠組みは残すこと、長期金利の上限を1%に置くと伝えられ、市場の動揺はおさまり、株価終値は小幅安となった。為替の方も前日終値と同水準になった。おそらくはこの一日で結構な利益を上げた投資家がいることだろう。(逆に損をした人もいるはずだ)


植田日銀のYCC修正がはじまったのは間違いないが、「異次元の金融緩和」を続けた、黒田東彦総裁の残したツケは大きい。そのツケ払いはまだ出てくるだろう。


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