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日銀・田村審議委 マイナス金利解除に言及 来年3月には政策委で論議か

日本銀行本店
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ブルームバーグ通信(30日電子版)によると、日本銀行の田村直樹審議委員は30日、北海道釧路市で講演したあとの記者会見で、2%の物価上昇の安定的な達成が見通せる状況になった場合、「当然、マイナス金利の解除も選択肢の一つになる」との見解を示した。
物価目標実現なら「マイナス金利解除も選択肢の一つ」-田村日銀委員 - Bloomberg


田村審議委員はマイナス金利を解除した場合でも、金利を低位に維持するのであれば金融引き締めではなく、「金融緩和の継続だというふうに捉えている」との認識も示した。


田村氏は記者会見に先立つ講演の中で、「現時点においては、金融緩和を継続することが適当」とした上で、「来年1-3月ごろには、その時点の賃上げのモメンタム(勢い)やそれまでに得られる年後半の物価動向などのデータから、(物価上昇率の)解像度が一段と上がると期待している」と語った。


来年のはじめに「物価の安定的2%上昇」が確認されれば、日銀政策委員会で、マイナス金利の解除が議論されることになるだろう。


日本銀行は、短期金利(一年もの国債金利)をマイナス0.1%、長期金利を上限1.0%とする金利カーブコントロール(イールド・カーブ・コントロール=YCCを行っている)


現在、国債金利のイールドカーブは、長期金利は0.6%~0.65%で、年限が短くなるに連れて下がり、マイナス金利は1年物のマイナス0.08%(8月29日)だけとなっている。


黒田東彦前日銀総裁が、「マイナス金利の深掘り」を言っていた2013年頃は、1年物から10年ものまですべてマイナス金利となっていたが、今年5月に植田和男総裁が就任、7月に長期金利の上限を1.0%に引き上げて以降、金利カーブは徐々に正常化に向かっているようにみえる。


日銀は短期金利マイナス0.1%を現出するために、大手銀行や地方銀行が日銀に預けている預金金利をマイナス0.1%としている。預金金利をマイナスにすれば、日銀への預金が不利になるので、銀行が日銀への預金をやめて、企業向けの貸出が増えるという目論見だった。


しかし、マイナス金利を長期に渡って続けても、銀行の企業向け貸出は増えなかった。貸出先の少ない一部地方銀行に対して、日銀は、預金残高の一部をプラス金利にして、マイナス金利で出る損を埋めるという複雑極まりない操作をしている。


(地銀が手数料稼ぎのため、顧客に「仕組債」を買わせてトラブルになるケースが出ているが、これも日銀の異次元緩和の副作用である。もちろん、イケナイのは地銀である。)


田村審議委員は、三井住友銀行出身。記者会見での発言は、マイナス金利(異次元の金融緩和)の効果の限界と副作用を、銀行出身者として知ったうえでの発言と思われる。

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