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岸田首相 悩む物価対策に日銀の出番はあるか 月末政策決定会合に注目 金利上限引き上げ説

日本銀行本店
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22日投開票された衆参補欠選挙では、自民候補の1勝1敗となり、2勝して(年末の?)衆院解散を目論んでいた岸田首相には手痛い誤算となった。


負けた一因に、物価高に賃金上昇が追いつかず、実質賃金マイナスが一年以上続いていることへの国民的不満があるのは間違いない。岸田首相もしばしば「物価高への対応」を強調している。(ガソリン、電気料金、ガス代の補助を言っているなら、あれは物価指数に反映させないようにするめくらましである。)


30年以上も昔なら、物価高になったら日本銀行が「公定歩合」を引き上げ、インフレを抑え込もうとした。現に、米欧はインフレを抑えるため政策金利を引き上げている。


日本銀行はいま政策金利を長期金利(10年もの国債金利)に置き、0.5%をメドとして上限を1.0%としている。物価高は言い換えれば通貨価値の毀損(きそん)である。通貨の番人ならば、日銀が長期金利の上限を1.0%から一段階、引き上げてもおかしくはない。おカネの値段=金利をあげて、物価との均衡をはかるわけである。


足元の長期金利は0.5%を超えて0.8%台に乗っている。日銀が月末(30日、31日)の金融政策決定会合で上限をさらに一段階引き上げるとの見方も出ている。
日銀、イールドカーブ・コントロール再修正論 長期金利「上限」1%接近で - 日本経済新聞


長期金利の上限引き上げで、為替円高→輸入物価下落→物価全般の抑制を期待するわけだが、いったい金利の上限引き上げは為替に効くのかどうか。それを示す最近の好例がある。


日銀は昨年12月20日の政策決定会合で、長期金利上限を0.25%から0.5%に引き上げることを決めた。その発表直後、為替相場は一気に円高に動き、5円ほど円高の1ドル=132円台前半となった。(今年1月には1ドル=129円の円高水準をつけた。)


政府・日銀は昨年10月頃に大規模な為替介入をしていたが、介入よりは利上げ(金利上限の引き上げ)が効くのである。


問題は、自民党多数派の旧安倍派に、異次元の緩和を続けることを頑なに主張する、有力議員がいることである。求心力に陰りの出た岸田首相が旧安倍派に遠慮して、日銀の政策変更を望まない可能性がある。旧安倍派も会長が決まらない状況では、一枚岩ではないようだが。


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中央銀行が本来、政策金利とするのは短期金利である。黒田東彦前日銀総裁時代に、デフレ脱却のため、短期から長期まで低金利を実現するために、短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%近傍とする「異次元の金融緩和策」をとった。そのために、日銀は長短の国債を買い入れてきた。


長期金利を抑え込もうとすると、1年ものから10年ものの国債を市中からどんどん高値で買い入れることになる。(債券は高値になると金利が下がるという関係がある。)その結果、23年3月現在、国債残高1080兆円のうち580兆円を日銀が保有している。

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