時代遅れの新聞読みブログ

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「出来レース」で楽天モバイルに周波数割り当て それでも黒字化にはカネと時間必要


総務省のプラチナバンド割当の審査項目。項目Dに「いわゆるプラチナバンド割当を受けていないこと」がある。楽天モバイルに「内定」は言ってみれば出来レースだった。(赤線は筆者)
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総務省は23日、楽天モバイル(以下楽天と略)に対し、プラチナバンドと呼ばれる700MHzの周波数帯域の電波を割り当てることを決め、楽天モバイルに認定書を交付した。


プラチナバンドは地下や高層ビルでも携帯電話がつながりやすい特性を持つ。NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの先行3社は割当を受けているが、後発の楽天モバイルは持っていない。


楽天が現在使えるのは、他社もある1.7ギガヘルツ帯のため、契約者が思うように増やせず、苦戦している。


今回、楽天1社しか申請がなかった。その大きな理由は、総務省がつくった審査項目に、「いわゆるプラチナバンドの割当を受けていないこと」とあること。100点中24点が配分されており、ほかの項目では差がつきにくく、総務省が楽天モバイルに割り当てようという意図が透けてみえる。


楽天以外の先行3社は「申請してもはねられることはわかっている」ため、申請しなかったのがウラの事情だ。もっとも、審査項目は公開されており、電波監理審議会で厳正に審査された(はずだ)。かくして、粛々と「出来レース」が進行した。


23日には認定書の交付式が行われ、ネット・ニュースにも流れたがまったくの茶番にみえる。(もとより筆者の私見)


つながりやすくなる?楽天モバイル プラチナバンドで契約者増やせるか 三木谷社長も「今年はモバイルモバイルモバイルモバイル」|TBS NEWS DIG - YouTube


なぜ、総務省が楽天モバイルを優遇するのか。このままでは、楽天モバイルの携帯事業がとん挫しかねず、携帯市場の3社寡占に1社(楽天モバイル)を加えて、競争をすすめる、という総務省の描いた構想が崩れてしまうというのが筆者の見立てである。


EC(電子商取引)大手の楽天グループ三木谷浩史会長には、携帯通信事業に進出することで、金融や証券まで含めた事業全体の利益拡大をはかろうとしたのだろうが、今のところ、携帯通信への投資は大きな重荷になっている。


2022年12月期の決算で、楽天モバイルは基地局などの設備投資がかさんで4,900億円もの営業赤字を出した。グループの楽天銀行を上場したが、その上場益も赤字穴埋めに使われるだろう。


楽天は基地局整備の資材費水増しなどで、巨額の詐欺事件(被害額約100億円)の被害者になった。整備を急いだのが一因だろうが、内部監査が行き届いていない組織というイメージを外部に与えてしまった。


楽天モバイルの22年12月末時点の契約数は500万件で、業界が黒字化の条件とみる1,000万件にはなお遠い。 (契約件数はドコモ8,600万、KDDIau 6,300万、ソフトバンク5,000万)


総務省の温情(?)でプラチナバンドを割り当てられたのは好材料だが、プラチナバンドの施設への投資が新たにかかることになる。楽天は早ければ来年中にプラチナバンドのサービスを始めたい意向だが、一気に劣勢挽回とはいかないだろう。

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