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岸田首相 EVの「走行距離税」 検討してない 政府税調案を棚上げ?

(自動車関係諸税のグラフは日本自動車工業会ホームページより自動車関係諸税 | JAMA - 一般社団法人日本自動車工業会 )


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岸田文雄首相は25日の衆院予算委員会で、自動車の走行距離に応じて課税する「走行距離税」について「政府が検討していることはない」と述べた。10月の政府の税制調査会では電気自動車(EV)の普及に伴い、減っていくガソリン(揮発油)税を埋めるために、走行距離に応じた税を検討するべきだとの意見が出ていた。


これに対して、自動車業界やユーザーからは「世界的なEV化の流れに逆行することになりかねない。クルマが生活に必需な地方では大きな負担になる」などと、反対の声があがっていた。


現在の自動車税制はガソリンなど石油燃料を使うクルマを前提にしており、毎年払う自動車税はエンジンの排気量が大きいほど高い。排気量が大きいクルマはそれだけ燃料消費も多いので、多額のガソリン(揮発油)税を払うことになる。(クルマは贅沢品というひと昔前の大蔵省流の考え方が残っているのか?)


ところが、燃費効率の向上やハイブリッド車の普及で、ガソリン税をはじめ自動車関連の税収はこの15年間で3割ほどの減収になっているという。揮発油税は道路整備の主要財源となっている。


財務省(と国土交通省)官僚の脳裏に、電池とモーターで動くEVが普及すれば、ガソリン税が「蒸発」してしまうという「悪夢」がよぎったに違いない。そこで出てきたのが、EVを対象とした、「走行距離課税」の案だ。


EVは、電池が金属の固まりということもあって、車両重量が、エンジン車に比べて2割程度重くなる。そこに着目し、「重いクルマは道路への負担が大きい」という課税理由をひねりだしたようだ。シロウトでも、乗用車の2倍以上重いトラックの方がよほど道路を痛めると思うのだが、何としてもEVから税を取りたいのだろう。


日本の自動車産業は、ハイブリッド車が先行しすぎたため、世界的なEV化の流れに遅れをとってしまった。ガソリン税で取りはぐれた「税金」をEVで取り返そうという発想では、EV普及に逆行し、産業の競争力を損ねることになりはしないか。


岸田首相の発言が単なる問題先送りに聞こえるのは残念なことである。


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日本は電力の8割程度を、化石燃料(石炭、石油、液化天然ガス)を使う火力発電でつくっている。このため、総合的な二酸化炭素排出量を考えると、日本ではハイブリッドの方がEVより有利という意見もある。

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