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中国の水産物禁輸は解けるか? IAEA調査に10月初参加 首脳会談「平和共存」確認も関係安定は難問

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岸田総理が中国に即時撤廃求める 日本産水産物の輸入禁止措置 日中首脳会談|TBS NEWS DIG - YouTube
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米国・サンフランシスコで16日午後、岸田文雄首相と中国の習近平国家主席との首脳会談が行われた。これをとりあげた、日本の報道(テレビ、一般紙)は、中国が福島第一原発の処理水放出(中国は汚染水と呼ぶ)に伴い、輸入を停止した水産物の輸入禁止措置が解決するかどうかに焦点をあてたものが多かった。


以前のブログに書いたことだが、中国の停止措置は下記の①、②に書く理由で「外交カード」として繰り出したもので、それを簡単には下げないだろう。あるいは、これを取り下げても別のカードを繰り出してくる可能性がある。
①台湾を巡る米中の緊張が強まり、日本は米国との連携を強め沖縄、南西諸島で防衛力の増強に動いている。日本が長射程のミサイルを南西島しょ部に配備したり、トマホークミサイル搭載護衛艦を増強したりする「計画」へのけん制、警告である。


中国政府は以前から、台湾(統一)は中国の核心的利益であり、米国はもちろん日本に関与するなと言っている。そのけん制措置としての水産物の輸入停止である。


②日本は米国の要請に応じて、先端半導体製造装置、材料の中国向け輸出規制を始め、今年7月23日から、先端半導体の製造装置など23品目を対象に加えた。半導体は通信、コンピューター、AIの性能はもちろん、ハイテク兵器の能力向上にも大きく関わる。この対抗措置として水産物の輸入を停止した。


中国は水産物の輸入停止が、台湾問題や半導体製造装置の輸出規制に対抗するためとは言わない。あくまでも「汚染水」と主張して日本の国内世論にも訴える作戦をとった。(共産党は、処理水排出をやめて中国に輸入再開を求めよと主張した。)


日中首脳会談に先立って、習国家主席とバイデン大統領との米中首脳会談が開かれた。(4時間にわたった。こちらの方が中国にとって本線である。日中会談は65分間だという。「支線」といったところだ。)


台湾問題については、米下院議長のペロシ氏の訪中をきっかけに途絶していた米中の軍の間のホットラインを再開することになった。偶発的な軍事衝突が起きるおそれは下がったが、一年前に戻っただけで、台湾をめぐる米中の緊張関係は続くとみたほうがいいだろう。


原発「処理水」に話をもどすと、日中首脳会談では、専門家による科学的な話し合いをすることで合意したという。実際に、この10月から、中国の分析機関も加わった国際原子力機関(IAEA)の原発周辺の海水調査が始まっている。


早ければこの結果を待って、中国が輸入禁止を解くかもしれないが、中国はメンツを重んじる国である。簡単に輸入禁止措置を解けば、中国国民に「あれほど汚染水が危ないと言っていたのにウソだったのか」という疑念をもたせることになる。科学的な結論が出ても、すぐには輸入禁止を解かないかもしれない。


岸田首相は首脳会談で、▽スパイ容疑で中国当局に身柄拘束された日本企業(製薬会社)の駐在員の開放 ▽中国の公船が尖閣列島近海に敷設したブイの即時撤去を求めた。


内実は知る由もないし、そう考えたくはないが、日本人駐在員の身柄拘束は中国にとって「新しい外交カード」かもしれない。


ブイは直径10M、アンテナつきで高さも10Mある大きなもので、「国家海洋局」と書かれている。中国側は尖閣諸島は中国の領土で、日本の排他的経済水域(EEZ)ではないと言っている。自民党には撤去すればいいという意見もあるが、いま撤去すれば水産物の輸入禁止措置は遠のくだろう。


首脳会談の冒頭で、日中の平和共存を双方が確認し、戦略的互恵関係を深め、ハイレベルの経済対話を行うことにしたという。経済関係では習国家主席が両国経済は融合していると述べるほど深い関係になった。それが、安定的に続くかどうかは難問であり続けるだろう。


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政府が原発処理水を放出すると発表したのは21年4月9日だが、そのころから中国国内のSNSやウエブサイトで、処理水(汚染水)が壊れた原子炉から直接流出するかのような画像や、「危険」をあおる、フェイクといってもいい情報が出回りはじめた。
半導体規制のブログ記事 - 時代遅れの新聞読みブログ


中国外交部(外務省)は処理水(汚染水)を流すなと公式に国際的な批判PRを始めた。早くから中国政府として日本に対する「外交カード」として使うことを決めたとみられる。


立憲民主党、共産党は処理水排出をやめて、中国に輸入禁止を解くよう求めよと主張していたが、そうすれば中国の思うツボである。


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岸田首相は首脳会談で、▽スパイ容疑で中国当局に身柄拘束された日本企業(製薬会社)の駐在員の釈放 ▽中国の公船が尖閣列島近海に敷設したブイの即時撤去を求めた。
2つとも国家安全保障にからむ問題で、とくにブイの即時撤去は応じないだろう。尖閣諸島は中国の領土で日本の排他的経済水域(EEZ)ではないと言っているからだ。

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