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安倍自民党がやった生活保護 減額は違法か適法か 割れる裁判所の判断 名古屋高裁は賠償認める

上の生活保護決定通知書は、東京都下多摩に住む、通称「サトじい」あてのもの。筆者は時おり行く場末の居酒屋で知り合った。変更とあるのは12月に一時扶助金=もち代が入るため。


サトじいの年は75歳+で、バブルのころは羽振りがよかったそうだが(何をしていたかは不明、タイへ部下?を引き連れて行き豪遊したこともあったとか)、時は流れ、いろいろあって4年ほど前から生活保護を受ける身となった。


単身のサトじいの生活保護費の基準額は約12万2,000円。年金収入(基礎年金と少額の厚生年金)が6万円と少しあるのでそれを差し引いた6万円弱が生活保護支給額となる。


その居酒屋では、300円のつき出しで350円の酎ハイ二杯をゆっくりと、時間をかけて飲む。生活保護費が出る前の何日かは、外飲みを控えて、自宅アパートで甲類焼酎(大五郎?)に缶チューハイを混ぜて飲んでいるらしい。


さて閑話休題、国(厚生労働相)は2013年~15年にかけて、デフレで物価が下がっていることを理由に、生活保護基準額を引き下げた。この引き下げが違法か適法かを巡って争われている訴訟で、30日の名古屋高裁は「違法」とする判決を下した。
(引き下げは率にして平均6.5%、最大10%である。3年間で670億円を削減した。)


同様の訴訟は29都道府県で起こされ、1審判決は22件のうち受給者側の勝訴12件、敗訴10件となっている。(7件は地裁で係争中、高裁判決は受給者勝訴1対敗訴1)


高裁判決は名古屋が2件目。今年4月には大阪高裁が減額決定は「適法」とする、真逆の原告側敗訴となる判決をくだしている。


大阪訴訟の原告団は最高裁に上告している。最終的には最高裁が判断することになるだろうが、名古屋高裁判決をもとに訴訟の論点を整理してみた。


名古屋高裁は、①厚労相は、社会保障審議会の部会が示した数値を基準額に反映する際、増減額の幅を2分の1にした。これは厚労相の裁量の範囲を逸脱している。


②厚労相は08年から11年の物価下落について、独自に算定した数値を用いて、受給者の消費実態とかけ離れた下落率を出し反映させた、いずれも違法である、と判断した。


生活保護費の減額は、2012年ごろから自民党・安倍政権がはじめた、生活保護叩きのひとつの「成果」である。最低賃金で働く人の月収が、一ヶ月の生活保護費よりも低くていいのか、というキャンペーンを覚えている人は多いだろう。
https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/recapture/pdf/062.pdf


さて、上にあるように厚労省は独自の物価指標をもとに生活保護費を引き下げを決めた。この物価指標はテレビ、パソコンの価格の比重が、それまで使っていた総務省の消費者物価指数より大きかった。当時、パソコン、テレビは価格が大きく下がっていたため、独自の物価指標も数字が低く出たのだ。


生活保護受給者はテレビやパソコンのような値の張るものを買うときは、コツコツとおカネをためて買うことになっている。(そのための預貯金は認められている)しかし、生活保護費を下げられたら、いま使っているテレビやパソコンが壊れた時に、買い替えるのが大変なのは想像に固くない。


(自民党議員の多くはテレビはともかくパソコンはぜいたく品という考えだった。仕事を探すのにパソコンは欠かせないと思われる。NHKの番組で生活困窮家庭の女子高生がパソコンがほしいと言ったところ、自民党議員が不適切?とねじ込んだこともあった。)


一審の地裁判決は受給者勝訴12件、敗訴10件。名古屋高裁は原告逆転勝訴、大阪高裁では原告逆転敗訴という結果をみると、引き下げは厚生労働相の裁量権の範囲内だと認める裁判官が、ほぼ半数はいるということだ。厚労相が減額を決められるなら、社会保障審議会は不要になるだろう。


安倍首相は生活保護費で節約してできたおカネは、生活困窮家庭の教育費(大学進学の手当など)にあてると言っていたが、それは悪い言葉を使えば、貧乏人のふとんをはがして、ほかの貧乏人にかけてあげるようなものだ。それで経済が浮揚するわけではない。
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蛇足=生活保護費より最低賃金で働いたときの月収が低いのはおかしいという話にもどれば、筆者は最低賃金を引き上がる方が先だと考える。景気を浮揚させて総体として賃金を上げるのが常道だ。
アベノミクスは異次元の金融緩和、財政出動(国土強靭に名を借りた在来型の公共事業投資)、規制緩和による民間投資喚起の3本を掲げたが、産業の活性化による全体の賃金アップ、個人消費の拡大という好循環は果たせなかった。


下の記事を参考にしました
生活保護減、国に賠償命令 厚労相に「重大な過失」 名古屋高裁:朝日新聞デジタル
生活保護引き下げ訴訟、名古屋高裁が国に賠償命じる初の判決…減額処分取り消し : 読売新聞

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