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中国・中植集団 5兆円の債務超過抱え破産処理 損失は個人が負う荒療治か 銀行守り早期処理ねらう?

中植企業集団傘下の中融国際が投資商品の支払いを停止し、多くの人が抗議に集まった。
中国の信託大手、中融国際が投資商品で支払停止 北京で投資家が抗議 - YouTube
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ブルームバーグ通信は6日、中国・北京の第1中級人民法院(高等裁判所に相当)が中国のシャドーバンキング(影の銀行)大手、中植企業集団(中植集団)の破産申請を受理したと伝えた。今後、裁判所が企業破産法に基づき、破産処理を進めるとみられる。


昨年11月の時点の内部検査によると、中植の債務は最大4600億元(現在の為替レートで約9兆3000億円)で、資産は2000億元(4兆400億円)だった。差し引き2600億元(約5兆2000億円)が債務不履行のリスクに直面することになる。


中殖集団は中国最大級の資産運用会社で、不動産からあがる収益をもとにした信託商品を販売し、集めた資金をさらに不動産に投資する手法で資産を拡大してきた。


しかし、近年の不動産不況=不動産価格の下落で、事業は逆回転して、販売した「信託商品」の利払い、償還が困難になった。個人投資家が弁済を求めて、街頭で抗議活動をするなど、社会問題化していた。


昨年11月には中国北京市警察が、中植企業集団による犯罪の疑いを捜査していると、当局がSNSで明らかにした。


ブルームバーグ通信は、「中国当局は昨年10月時点で、金融市場への影響を抑えるには中植集団を破産手続きで処理することが、最も有効な手段と判断した。」としている。その背景として、中植の主要債権者が金融機関でなく主に裕福な個人であることを指摘している。
(YOU TUBEに上がった映像をみると、返済を要求している人は裕福な人だけとはみえない)


個人投資家に損失を負わせる、いわば「荒療治」は、大手銀行に波及してだらだらと続いた日本の不良債権処理よりは早くすむかもしれないが、個人の投資意欲減退は免れない。中国政府は住宅ローン金利を史上最低水準に引き下げ、住宅市況のテコ入れに腐心しているが、処理をすすめる一方、アクセルを踏み込むような手法が奏功するかどうかは見通せない。


中国では、日本円にして40兆円の債務を抱える、中国恒大集団についても、ドル建て債権の保有者が香港高等法院に会社清算の申し立てを起こした。1月29日にも香港高等法院が申し立ての可否を判断し、場合によっては清算命令を下すとみられている。恒大には大手銀行が融資しているといわれ、香港高等法院の判断が注目される。


日本の不動産バブル崩壊では、不動産に投資していたノンバンクやデベロッパーが巨額の損失を出した。最終的にその損失は融資していた大手銀行が負うことになったが、信用不安が起きないよう時間をかけてすすめ、公的資金の注入や大手銀行の再編があった。その過程で、銀行の貸し渋り=信用の収縮が発生、デフレ経済の一因にもなった。


銀行預金者保護と投資家保護は異なり、かつての日本も今の中国も金融機関=銀行に波及しないことを第一にしている。中国がどのように不動産バブルと投資バブルの後始末をするか。それは始まったばかりだ。

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