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不景気の株高は日銀 緩和策の結果 インフレ助長で実質賃金マイナス それでいて賃上げ期待の矛盾

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たいていの株式用語集(オンラインを含む)には「不景気の株高」という項目がある。日経平均株価が4万円を超えて史上最高値をつけたが、多くの人が景気がよくなった実感を持てないという今の状況にぴたりと当てはまる。


まず、景気の良し悪しの判断だが、客観的なデータとしてGDP(国内総生産)を持ち出すと、23年の第3四半期(7~9月)、第4四半期(10~12月)と続けてマイナスになった。


GDPのマイナスが2四半期続くと景気後退入り(リセッション)と判定されるので、いまは「不景気だ」といって差し支えないだろう。(ただし第4四半期は前期比0.1%減で誤差範囲との見方もある。大きな落ち込みではない。)


個人的な景気の「実感」はどうだろうか。個人の収入面では、厚生労働省が、労働者(パートタイマーを含む)の給与、賃金を調べる「毎月勤労統計調査」が参考になる。


直近の調査によると、今年1月に労働者が受け取った「現金給与総額」はの平均平均28万2270円だった。昨年1月に比べて2.0%増えたものの、物価上昇分(2.5%)を割り引いた「実質賃金」は0.6%減少した。


目減り分は1,693円になる。1年前と同じようにおカネを使い、残りを預貯金あるいは投資に回したとしても、その額は確実に減っているはずだ。(家計の消費ではアルコール飲料の額が減っているのが目を引く。筆者もウィスキーを控えて、焼酎に切り換えた。うなずける話だ。)


最初に書いたGDPの話にもどれば、タマゴとニワトリの関係になるが、実質賃金の減少が個人消費の減退につながり、GDPの下ブレ(マイナス)要因となっている。


ある株式用語集は、不景気の株高について、不景気になると日銀が景気回復のために資金を潤沢に出すが、不景気で設備投資も増えず、だぶついた資金が株式市場に向かい株価を上げると書いている。


いまも日銀が異次元の緩和で、低金利(短期金利はマイナス0.1%だ)でおカネを市中に流し込んでいる。企業業績を支えるためというのが名分だが、物価上昇率より低い金利はインフレを助長するものにほかならない。


一方で、日銀は供給したおカネがどういう経路か不明だが、個々の賃金に回り、実質賃金がプラスになることを期待しているようだ。


政府が賃金統制をしている国ならいざ知らず、中央銀行が物価上昇率以上の賃上げをお願いしても、実現するかどうかは日銀の仕事の埒外(らちがい)というものだ。自由主義、市場経済を旨とする日本銀行としてまことに奇妙なことといわざるをえない。

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