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最低賃金 来年は韓国に抜かれる? 英仏独は日本の5割増水準


中央最低賃金審議会は1日、2022年度の最低賃金の上げ幅の目安を全国加重平均で31円(3.3%)と決めた。目安通り改定されれば全国平均で時給961円となる。
物価上昇を背景に、上げ幅は過去最大となったが、英独仏の欧州各国にくらべると4割程度低い水準にとどまっている。日本の最低賃金は地域別(都道府県)に決められるため、来年には全国一律制の韓国に抜かれる県が出る可能性がある。


英独仏は今回決まった日本の最低賃金に比べて5割程度、高い水準にある。各国とも労使交渉で決まる賃金の水準や物価上昇率などをもとに、日本で言えば最低賃金審議会のような委員会で決める。ウクライナ侵攻後、欧州各国も高インフレに見舞われており、来年以降も(最低)賃金はあがることが予想される。


米国は全州に適用される連邦最低賃金と、州、市、郡ごとに決める最低賃金があり、いずれか高い方が適用される。全米50州のうち30の州とコロンビア特別区は州の最低賃金があるという。連邦最低賃金は2009年に決められた7.25ドルがいまも適用されている。


バイデン大統領は連邦最賃を15ドルに引きあげる方針を示し、民主党議員らが4年かけて15ドルに引きあげる法案を連邦議会に提出したが、現時点で可決の見込みはたっていないようだ。


(所得の増加、貧困の解消というメリットの一方、中小企業が人件費増で苦境に陥り、かえって雇用が減るという反対意見がある。)


韓国は文在寅前大統領が、2017年の大統領選挙時に「3年(2017~2020年)以内に最低賃金を1万ウォンとする」という公約を掲げた。韓国は最低賃金委員会が審議・議決をして、雇用労働長官が決める仕組みだが、大統領の権限が強く働くようだ。


実際、韓国は2018年16.4%、2019年10.9%と2年連続で最低賃金を2ケタ引き上げた。ところが、2年間で29%も最低賃金が上昇したため、飲食店や小売店など自営業者の人件費負担が急増し、廃業や解雇が続出した。結果として雇用悪化につながり、2020年、2021年と2年連続で2%前後に抑制した。
大統領が代わった韓国は、7月に来年の最低賃金を9620ウォンと決定している。


日本の最低賃金は各都道府県を経済や賃金・雇用事情などに応じてA~Dの4ランクに分けている。現行の最低賃金が最も高い東京都は1041円、最も低い沖縄県は820円だった。
現在の愛知県の最低賃金(Bランク)は955円で、韓国は全土で愛知県なみの最賃が適用されることになる。


地域でみると、最低賃金の水準が低い県は東北や九州、四国などに多い。少子高齢化でもともと少ない若年労働者が賃金の高い地域に流出している面がある。今回の賃上げは全体にはプラスだが、韓国であったように今回の最賃引き上げが(地方の)零細事業者の廃業というケースもあるだろう。

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