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インフレ率3%に迫るのに 日銀はゼロ金利継続を決定 ドル売り介入は外貨準備取り崩す「愚策」

金融政策後、記者会見する黒田東彦日銀総裁 【LIVE】急激な円安で金融政策は…日銀・黒田総裁会見(2022年9月22日)| TBS NEWS DIG - YouTube


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米連邦準備理事会(FRB)は21日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利(FFレート)の誘導目標を0.75%ポイント引き上げ、3.00─3.25%とした。一方、日本銀行は22日の政策金融会合で現状のマイナス金利を許容する金融緩和の継続を表明、日米金利差の拡大が続くとの見方からドル円相場は一時1ドル=145円台をつけた。


金融緩和継続は、黒田東彦・日銀総裁以下、日銀政策委員の全員一致の決定。円安は物価の上昇を招き、おカネの価値を毀損するが、黒田日銀は当面、「円安放置」策をとることを意味する。つまり、国民生活者に物価上昇を「許容してもらう」のである。


(財務省が22日、円買いドル売り介入して為替は141円台の円高方向に振れた。筆者は日本の単独介入では効果は限定的と考える。1998年に円買いドル売り介入をしたときは、米国との協調介入だった。貿易赤字が恒常的になっているときに、外貨準備を取り崩すドル売り円買い介入が持続的にできるとは思えない。)


日銀は「異次元の金融緩和政策」をはじめたとき、物価が安定的に年率2.0%上昇するまで行うと言っていた。日本のインフレが、米国と違って、賃金上昇の伴わない「悪いインフレ」になったのは黒田総裁の誤算だろうが、金融緩和で支えさえすれば経済成長が実現できると考えた「アベノミクス」の負けである。


黒田総裁は、7月の政策決定会合後の記者会見で、日米の金利差が「為替に影響しているのは事実」と認めている。その一方で、「日本の金利を少し上げても円安が止まるとは考えられず、円安を止めるためには大幅な利上げが必要になり、経済に大きく影響する」と述べている。そう、日銀は金利を上げられないのだ。


ここで改めて、日銀の異次元の金融緩和政策を説明する。金利は短期金利をマイナス0.1%とし、長期金利を0%程度(上限は0.25%)とする。そのために短期~長期の国債を日銀が無制限に買い入れる。


金利を力ずくで抑えた結果、日米の金利差は足もとで3%程度になっている。仮に米国と同じ上げ幅の0.75%幅引きあげると、長短国債は大きく下落し金融市場は大混乱をきたすだろう。


日銀が混乱なしに超金融緩和政策を転換する場合、市場に何らかの前触れが必要になる。ただ、「異常」な緩和期間が長きにわたったため、市場に修正のシグナルを伝えることも難しくなっている。(たとえば短期金利をゼロとして、長期金利の上限を上げる修正が考えられるが、いまやると円を売っている海外勢を喜ばせることになる。)


筆者も含めてだが、まずいのは日本全体が超低金利に慣れてしまっていることだ。利上げが黒田総裁が心配するように「経済に影響」することは覚悟しなければならない。


身近なところでは住宅ローン金利は確実に上がる。住宅ローンを組む人の7割近くは変動金利型ローンだが、その水準はメガバンクでは0.3%~0.4%台というところ。短期金利がプラスになれば、その分が上乗せされる。新型コロナ禍でも比較的おう盛な住宅需要に水を差すことになるだろう。


もう一つ利上げの影響で計りがたいのが、日本銀行が保有する国債が利上げで「含み損」を抱えることだ。


日本銀行は「超低金利」を実現するために、2012年に黒田総裁が就任して以降、短期から長期までの国債を買い入れ続け、今年6月時点で日銀保有の国債は528兆円にのぼる。総発行残高(6月末で1065兆円)の49.6%とほぼ半分になっている。(朝日新聞記事による)
日銀の国債保有、5割に迫る 金利抑制のため大量買い上げ:朝日新聞デジタル


金利を上げれば既発(発行済み)の国債価格は下がる。投資家は(あなたも含めて)金利の高い新発債を買うからだ。日銀の含み損の発生は不可避である。日銀が満期まで持ちきれば問題ないという意見もあるようだが、どうなのだろうか。(金利が上がること、2~3%のインフレが続くことを考えていないように思われる)


金融市場は本来、さまざまな市場参加者がいて、インフレ率や経済成長率、その他地政学的な要素や、ときには戦争の勃発まで、日々消化しながら、金利の均衡点を探っている。ところが、日本の金融市場の本来的な機能は長年の日銀の市場操作(国債を買う一方)で喪失してしまった。


金融緩和継続に強い意志を示した黒田・日銀総裁だが、のっぴきならない状況に陥っているのではないか。日銀の市場操作がなかりせば、日本の短期金利の適正水準はどのくらいなのか。インフレ率が3%に迫っているのに日銀政策委員はみな短期金利はマイナスでいいと考えているのは驚くべきことである。

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