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クレディ・スイス銀の暗闇 巨額の海外汚職・密売マネー内部告発 買収後もくすぶるか

YOU TUBE ANN NEWS より【速報】スイスの金融大手UBSが経営危機のクレディ・スイス買収で合意 スイス政府(2023年3月20日) - YouTube


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経営危機に陥ったクレディ・スイスグループは、1年前の2022年2月に、汚職や麻薬密売に関与する海外顧客の口座で巨額の資金を預かっていると、匿名の関係者が内部告発していた。また、昨年10月には、米国司法省が、クレディスイスの米法人が、脱税マネーを受け入れている疑いがあるとして調査を求めている。


クレディ・スイスはスイス中央銀行の資金支援を得て、スイスの同業大手UBSに買収されることが決まったが、クレディ・スイスの「ダークサイド」清算がすすむかどうかは不透明だ。


クレディスイスを揺るがせた内部告発は、人権侵害や汚職、麻薬密売に関する同行の顧客口座に関する大量の情報データが、独有力紙「南ドイツ新聞」に提供されたことに端を発する。


南ドイツ新聞はその情報データをジャーナリスト団体や、ニューヨークタイムズ(NYT)紙や英ガーディアン紙に提供、協力して各報道機関が取材、報道した。(22年2月のロイター通信によるクレディ・スイスに「汚れたマネー」疑惑、調査報道受け当局も対応 | ロイター


データは1940年代から10年前までに開設された口座まで1万8000以上、資産合計は、資産合計は1000億ドル(約13兆2000億円)余りにのぼるという。


NYTや英ガーディアン紙がとりあげた「ブラック資金」は、①約2億7000万ドル(25口座)は、ベネズエラの国営石油会社、ベネズエラ石油(PDVSA)を巡る不正に関与した複数の人物に帰属していた


②ジンバブエのムガベ前政権と関連で欧米の制裁を受けている同国実業家の口座があった。


③フィリピンの人身売買業者や ④賄賂で投獄された香港取引所の当局者、⑤その他、エジプトやウクライナなどの国での汚職に関与した役人らの口座があった。


報道を受けて、クレディ・スイスは、ジャーナリスト団体からの問い合わせを受けた後に、口座を調査し、約90%の口座は閉じられているか、すでに解約手続きに入っていたとし、60%以上は2015年より前に閉じられていたと説明したと伝えている。


一方、ブルームバーグ通信は、昨年10月12日付け電子版で、米司法省が、クレディ・スイス・グループが南米パスポートを持つ米顧客の資産隠し「ほう助」を続けていたかどうかを調査していると伝えている。
クレディSを米司法省が調査、顧客の資産隠しで支援継続の疑い - Bloomberg


クレディスイスは8年前の2014年に、米司法省などに26億ドル(現在の為替レートで約3400億円)を支払って、顧客の脱税ほう助に関する訴訟を決着させた。しかし、同通信は、南米のパスポートを持つクレディスイス口座保有者が、(2014年以降も)多額の資産を米内国歳入庁(IRS)に報告していない可能性があると伝えている。


内部告発にもとづく報道のあと、昨年6月27日、スイス連邦刑事裁判所は、クレディ・スイスと元従業員1人に対してベルギーの麻薬組織の資金洗浄を阻止できなかったとして、マネーロンダリング(資金洗浄)防止義務違反による有罪判決を下した。


クレディ・スイスは今月14日に2022年の年次報告書を公表し、財務報告に関する内部統制に「重大な弱点」があることを確認し、資金流出と株価下落を招いたが、それ以前からクレディ・スイスの信用は失墜していた。


UBSはクレディスイス買収にあたって、2年前に約5000億円という巨額損失を出した投資銀行部門を切り離し、「富裕層」向けの資金運用部門について引き受けるとの条件をつけたという。スイスは特別な銀行法を持ち、「顧客の秘密」を固く守ってきた歴史がある。
クレディスイスが消えても、UBSの「アングラマネー」としてくすぶり続ける可能性がある。


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スイスの銀行法47条は、銀行の顧客に関する情報の漏えいはたとえ公益に資する(たとえば海外脱税マネーの告発)場合でも、刑事犯罪に当たるとしている。2015年の改正で強化され、内部告発者とともに、不正行為を報じるジャーナリストも処罰の対象となった。これには国内にも批判する声がある。
報道の自由を脅かすスイスの銀行秘密 - SWI swissinfo.ch

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