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植田総裁の初手は長期のマイナス金利 撤回か 黒田氏の困った「置き土産」

写真は日本銀行本店 上から見ると円の字にみえる。
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9日に日本銀行総裁に就任した植田和男総裁が、10年以上続く「大規模金融緩和政策」の修正にいつどのように着手するかが注目されている。シロウトの観点からいうと、最初に修正するべきは、マイナス金利(とくに長期金利)の解除だろう。


教科書的にいえば、物価が上がれば金利に上昇圧力がかかる。足もとの物価上昇率は年率4%に達するが、これに見合う金利は何%だろうか。これをわからなくしているのが、日銀のイールドカーブコントロール(YCC、長短金利操作)であり、結果として物価高(通貨価値下落)になんの手も打てない日銀と批判をされることになった。


日銀は2016年以降、短期金利(伝統的政策金利)をマイナス0.1%にクギ付けし、長期金利(10年物国債利回り)を「政策金利」として基準をゼロ%に置き、昨年12月20日の金融政策決定会合まではその上限を0.25%としていた。(下限はマイナス0.25%)


ウクライナ戦争の勃発を機にエネルギーや食料の国際価格は急騰し、インフレ率は昨年9月には3%台に達した。3%のインフレ率が続けば、金利0.25%の10年物国債を発行時に100万円分買うと、その先10年分の金利(単利で2.5%)が、1年足らずで帳消しになってしまう。(実際には国債金利は半年の複利払いで計算するが、単純化する。)


そんな国債をだれが買うだろうか。インフレで市場には金利先高感が広がり、日銀は上限の0.25%を守るために10年物国債を買いに買って――市場の売り玉が枯渇したので、日銀の保有する国債を一時的に貸し出してまで――金利を押さえつけようとしたが、最終的には決定会合の議論を経て上限を0.5%に上げざるをえなかった。


見方を変えれば、金利を0.5%にあげなければ、国債の買い手がなく、国債の借り換えも危うかったということだ。


以前のブログでも書いたが、昨年12月の政策決定会合後の記者会見で、黒田総裁は下限のマイナス幅も広げてマイナス0.5%まで許容することを強調し、「上下限の幅を広げたのであって利上げではない」と言っていた。


黒田総裁は3%のインフレ下で、持っているだけで毎年0.5%ずつ「税金」を払う国債を買う人がいるとホントに考えたのだろうか。マイナス下限を広げたのは、退任を控えた黒田総裁の困った「置き土産」といえる。


植田総裁の金融政策修正の初手は、手の付けやすい長期金利のマイナス側の撤廃となると予想する。多くの市場関係者は長期金利下限(マイナス)が短期金利マイナス0.1%より深いのは、おかしいと考えているので、撤廃しても市場の動揺はないだろう。
植田総裁にとって初回となる4月末の政策決定会合で決めることもありうる。


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