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三菱UFJ傘下証券の顧客 1,000億近く損失 クレディ劣後債「紙くず」化で

三菱UFJ銀行が顧客に投資勧誘を行い、取引の仲介を行うこともある。リスクのある商品を仲介する場合、当然ながら十分な説明が求められる。図は三菱UFJ銀行のホームページから。


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ブルームバーグ通信(14日、電子版)などによると、スイス大手銀行UBSによるクレディ・スイス・グループ(CSG)の救済合併で、無価値=紙くず同然となったクレディ・スイス発行の永久劣後債について、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱UFJモルガン・スタンレー証券が、総額で約950億円分を、約1550の顧客(口座)に販売していたことが分かった。


同証券はMUFGと米モルガンスタンレーの合弁会社で、富裕層向けの事業を展開している。同通信によると、同証券は売り先は「大半が個人の富裕層」と説明しているが、一部法人もいるという。


永久劣後債を購入した顧客の多くが三菱UFJ銀行の投資勧誘を受けていた可能性があり、今後、三菱UFJ銀行側が、劣後債が「無価値になる」リスクをどの程度、顧客に説明していたかが問われることもありそうだ。


劣後債の「劣後」は、債務の弁済順位がふつうの債券に比べて低いという意味。その分、金利はふつうの債券に比べて高いという「甘味」がついている。永久劣後債は償還期限がないのでさらに金利が上乗せされる。
(永久劣後債でも決められた期間後に償還できるとの条件が付けられることもある。)


永久劣後債は一部を自己資本に算入できるので、発行体にとっては増資によらない自己資本強化策ということになる。)


さて、クレディスイスのように、深刻な経営悪化に陥り預金流出を呼んで、自己資本が毀損するような状況に陥ったら、劣後債はどういう扱いになるか。クレディスイスの一件が起きるまでは、劣後債が株式に転換されたり、減価されることはあるが、株式より先に無価値=紙くずになることはない――と考えられていた。


ところが、クレディスイスの永久劣後債には、銀行救済のために「公的資金」が使われた場合、劣後債を「無価値」にするとの条項があった。スイス国立銀行は救済合併にあたって、500億スイスフラン(約7兆4000億円)の資金支援をしており、この条項が発動された。


ブルームバーグ通信の別の記事によると、永久劣後債に「恒久的な元本減額」を可能にする条項が含まれているのはクレディスイスとUBSだけだという。


国内でこの劣後債が組み込まれた「投資信託」を売った証券会社は他にもあるが、債券ファンドの一部に入れていたようで、損失は大きいところで1%以下にとどまっているようだ。


クレディ・スイスの買収でAT1債市場は混乱:銀行の資本確保にも障害 | 2023年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)


MUFJ=モルガンスタンレー証券に話を戻すと、顧客一口座当たり約5000万円をフイにしたことになる。MUFJは永久劣後債を買った顧客には、説明を尽くすと言っているようだ。説明を受けたところで納得できるものではない・・・だろう。


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クレディ・スイス・グループのすべての永久劣後債の発行残高は、170億ドル(約2兆2400億円)規模になるとされる。MUFJ=モルガンスタンレー証券はその5%弱を売っていたことになり、世界的にみてもかなりなシェアだったとみられる。

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