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日本の債務上限を考える GDP対比 格下げの米より悪い 安倍回顧録の「緊縮財政」はナゾ


財務省資料より、国債利払い費と金利の推移、金利は表面金利の加重平均
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米国債務上限問題が今年6月に「デフォルト寸前」まで紛糾したことを理由に、格付大手のフィッチは、米国債格付けを最上位の「AAA」から「AA+」へと1ランク引き下げた。米国債の格下げは、2011年8月にS&P社が実施して以来12年ぶり。


バイデン政権は、今年6月に連邦政府の債務借入残高の上限(現行31兆4,000億ドル)の適用を2025年1月1日まで停止する法案の上下院での可決にこぎつけ、上限問題を切り抜けた。それでも、フィッチが格下げしたことについて、イエレン米財務長官は早速、「米経済の力強さに照らして(格下げは)不可解だ」と批判した。


米債務の「上限引き上げ問題」は民主、共和両党の政争の具として、繰り返されており、25年に再燃する可能性がある。フィッチ社の引き下げは「ガバナンスの低下に対する」警告的な意味があるのだろう。


米国の連邦債務はGDP(2022年20兆ドル)に対して比率では157%となる。日本の政府債務は普通国債残高だけで1,042兆2,000億円(2022年度)にのぼり、GDP(22年暦年で546兆円=約4兆ドル)比は190%を超える。


ちなみにEUの「問題児」(失礼!)といわれるイタリアの143%(2023年3月)よりも悪い。


日本は政府債務の上限に法律的なしばりがない。自民党の安倍晋三首相は、「国債をいくら発行しても日銀が借り換えれば問題はない」とまで言っていた。安倍氏のアタマには債務上限はもちろん、金利負担(利払い)もなかったと思われる。


アベノミクスが始まって以来、「財政出動」で国債残高は毎年30兆円ほど増えている。安倍氏は自伝では財務省が緊縮財政を強いたと言っているようだが、どこが緊縮なのか筆者には理解できない。


安倍派の有力者のひとり、世耕弘成・自民党参院幹事長は8月1日の記者会見で、日銀が長期金利の上限を0・5%から1・0%程度に引き上げたことについて、「少々驚いている」と述べ、大規模緩和の修正につながることに警戒感を示した。


確かに日銀は長期金利の上限を1.0%に引き上げたが、いまのところ市場の長期金利は0.6%台となっている。(高くても0.65%程度)世耕氏は長期金利の上限を2倍にしたことに単純に驚いたのだろうか。


日経新聞が長期金利の上昇で、財政負担が増える可能性があると書くぐらいなので、世耕氏はそれを心配したのだろうか。実のところ、いまの国債の荷重平均金利は0.8%程度なので仮に0.6%の利回りで長期国債を出した場合、利払い負担はそれほど変わらない(または下がる)可能性がある。


仮に世耕氏が長期金利の上昇がよくないと思っているのなら、もう一歩進めて日本の債務の上限にも考えをめぐらして欲しいものだ。政府債務の上限が青天井と考えているわけではないと思いたい。(長期金利と短期金利の区別はもちろん理解しているだろう)
長期国債入札、利回り9年ぶり高さ 財政負担増の懸念も - 日本経済新聞
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財務省は7月に10年もの新発債券のクーポン(表面利率)を6月までの0.5%から0.1%下げて0.4%とした。その分、額面を98円台にさげて利回りを0.6%にするわけだ。いずれは表面金利を0.5%に上げるだろう。

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