（上のグラフは米国ジョンズホプキンス大学のデータを利用して作成）

韓国の新型コロナウィルス感染者が16～18日までの3日間で140万人を超えて、人口比でくらべた場合、世界各国と比べても深刻な状況に陥っている。17日は世界で1日に発生した感染者数の4分の1が韓国だという。

感染者数は16日40万0741人、17日62万1328人、18日40万7017人。3日間の死亡者は730人だった。ソウルでは火葬場の「能力」が追いつかなくなっていると報じられている。

韓国は新型コロナウィルスの発生初期の20年前半にＰＣＲ検査態勢をいち早く拡充して、厳格な感染者隔離をして拡大を抑えるのに成功した。いわゆる「Ｋ防疫」に自信を持っていた。

今では韓国メディアは、オミクロン株を軽くみて「対策を誤り惨事を招いた」と批判一色だ。

（PCR検査については、日本の検査数は2020年12月で最大7万4000人だったが、今年の2月には最大31万6000人で韓国に追いついたところだ。隔離政策については後述。）

急増の原因について、韓国の専門家は感染者が増えるきざしがあったのに①感染者が比較的軽症なことから、飲食店など自営業者の経営を考慮し、2月下旬に営業時間の制限を緩和した。

②3月9日の大統領選前に集会などで多くの人が集まったこと③3月から新学期が始まり、学校での集団感染が増えた、などが指摘されている。

韓国の新型コロナ向けワクチンの接種は2回終えた人が8割弱で日本と同程度で、3回目のブースター接種も進んでいる。しかし、日本と同様にワクチン接種したのに感染するブレークスルー感染が多くみられるという。

韓国では新型コロナワクチンとしてファイザー製、モデルナ製、アストラゼネカ製とほか1社の4社のワクチンが使われた。アストラゼネカは26％を占める（昨年末）が、ファイザー、モデルナのワクチンに比べて有効性がやや劣り、接種後に抗体が減少する割合も大きいとされる。

韓国はワクチン接種の初期に高齢者施設でアストラゼネカのワクチンを使った。それが高齢者施設でのブレークスルー感染（ワクチンをうったにもかかわらず感染する）を増やしたとの見方もあるようだ。

韓国の国民を苛立たせているのが、政府の新型コロナ対策の担当者が、「オミクロン株による死亡率は0.1％以下で、季節性インフルエンザの死亡率（0.05－0.1％）とほぼ同じ水準になった」という「理屈」で今月21日からさらに営業規制を緩める方針を示したことだ。

18日に発表された内容は「私的な会合」の人数制限を6人から8人に増やすという小幅緩和にとどまった。検討されていた営業時間（現在は午後11時）の延長は見送られた。さすがに世論を考慮したようだ。

韓国の新コロナによる死亡率は足もとでは0・14%に上がっている。全国の重症者向けの病床稼働率は66．5％にのぼり、医療崩壊を懸念する声が出ている。

参考資料
なぜ、韓国では新規感染者数が増加し続けているのか?　基礎研ＲＥＰＯＲＴ（冊子版）2月号[vol.299]|ニッセイ基礎研究所

3月18日付け朝日新聞記事
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韓国のいわゆるK防疫は、下記レポートを参考にしました。

「韓国におけるコロナ対策とその背景」
（一財）自治体国際化協会　ソウル事務所所長補佐
（富山県　国際課）　今村　斉生

https://www.pref.toyama.jp/sections/1015/ecm/back/2020nov/tokushu/index1.html

一部を抜粋すると、

　疾学調査・追跡：検査により感染者が確認されると、更なる感染を防ぐために感染源を特定する疫学調査が行われるが、韓国ではここに全国民が持つ住民登録番号、携帯電話の位置情報、防犯カメラの記録、クレジットカードの決済情報などが利用された。そして、特定された感染者の動線が自治体HP等で詳細に公開された。また、海外からの入国者には自宅等での2週間の自己隔離を義務付け、携帯電話の専用アプリを使用して位置情報の管理、健康状態の確認がなされた。

筆者はここまできびしい感染者追跡は個人情報の利用ともからみ日本では難しいと考える。