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日銀は「円安」を放置するのか? 輸入物価上昇で春闘の賃上げ「帳消し」

(グラフはTRADING VIEWより ロンドンに本社のあるFXCMの米ドル/円の動き。)


外国為替相場は13日の東京市場でほぼ20年ぶりとなる円安(ドル高)水準になる、1ドル=126円台をつけたが、14日は円がやや戻し、東京市場は1ドル=125円代台半ばの取引となっている。


異次元の金融緩和を続ける日本銀行と、インフレ対策で利上げ方向の米FRB(連邦準備制度)の金融政策の違いから、今年3月以降、円の下落幅は8%、額にして11円となっている。


ウクライナ戦争の長期化によるエネルギー価格の高騰に、円安が加わり、エネルギー・原材料の輸入物価が上昇し、最終的には消費者物価の上昇を招くことになる。


今春闘の賃上げ率は2~3%と予想されている。4月の対前年消費者物価上昇率は、エネルギー、原材料価格の上昇、携帯料金引き下げ効果のはく落などにより、プラス2%程度の上昇が見込まれている。つまり、賃上げ分は「帳消し」になるわけだ。


4月以降も輸入エネルギー、原材料価格の上昇、それに円安分が徐々に転嫁されるのは必至で、悪くすると持続的な物価上昇が考えられる。


日本銀行は「円安は総じて言えば日本経済にはプラス」と言い続けている。
円安が輸出にはプラスで、ドル(外貨)建て価格が同じなら、円建ての手取が増えるとの理屈だ。(数量が増えることも期待できる)


ところが、現実の貿易収支はは今年2月まで7ヶ月連続で赤字となっている。


貿易赤字の要因は、自動車用部品や半導体不足で、大きな輸出品目の自動車輸出が伸びなかったためだ。


(基幹部品の半導体製品を海外からの輸入に頼ること自体が、日本の製造力の競争力低下を物語るとの見方もある。)


足もとの不安要因は、最大の輸出相手国、中国でコロナ感染が再拡大し、上海などで都市封鎖が行われたことだ。港湾機能は維持されたようだが、国内の物流の停滞、工場の休止がかなりあったと言われる。


所得、賃金が上がらず、物価上昇が持続的に続くなら、一般国民レベル(勤労者、サラリーマン、自営業者、年金生活者)から、日銀の異次元の金融緩和=円安政策に不満が出てくるだろう。


手をこまねいていれば、景気悪化とインフレが並行的にすすむスタグフレーションのおそれがある。

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