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電気料 再エネ賦課金なぜ下がったか 化石燃料高騰で売電価格との「逆ザヤ」圧縮 22年度がピークの可能性も

図は経済産業省による「再エネ賦課金」の予測、実際には22年度の賦課金は2030年度の高位予測2.61円を大きく上回っている。23年度は大幅引き下げで中位予測に近づいた。


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5月の電気料金から、すべての需要家、消費者が支払う23年度の再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)が、22年度の3.45円/キロワット時から半額以下の1.40円/キロワット(kW)時に下がる。再エネ賦課金は2012年度に導入されて以降、主軸の太陽光発電が増えるのに歩調を合わせて、上がり続けていたが、下がるのは初めて。


二酸化炭素(CO2)を出さない、クリーンな再エネの必要性はわかるが、再エネ賦課金が上がり続けてはかなわないと考える人も多いのではないか。かくいう筆者もその1人である。その仕組みから、大きく下がった要因と、これから先はどうなるのかを考えてみた。


再エネ賦課金が導入されたのは、2012年7月。東日本大震災・福島原発事故で電力需給がひっ迫、設置期間が短い太陽光発電を大急ぎで増やすため、再エネ発電のFIT(固定価格買取)制度と合わせてスタートした。


再エネ電力の買い取り価格は、事業者へのインセンティブとして、一定の利益を織り込んだ上で、大手電力の売電価格より高く設定された。高く買った電気を、より安い価格で売れば、損が出るのは当たり前のこと。それを、穴埋めするのが再エネ賦課金というわけだ。


ただし、算定する際に、忘れてはいけないことがある。再生エネルギーを使うことによって、火力発電所で使う石炭や天然ガス(LNG)など化石燃料を節約していることだ。(CO2も削減できているが、いまは価格=コストだけをみる。)


再エネ賦課金の「総額」は、①再エネ電気の買い取り費用から、②節約できる(化石エネルギー)電気料(役所用語では回避可能費用等という)を差し引いた額になる。


賦課金はすべての需要家、消費者が使う電気量(キロワット時)に応じて、均等に支払う。賦課金の1キロワットあたり単価は(①―②)÷③総販売総電力量で出る。


23年度の賦課金算定を計算すると ①買い取り費用=4兆7400億円 ②節約電気料3兆6300億円 ③販売電力量7900億キロワット時となっている。
上の算定方式をあてはめると、(① ―②)÷③=1.40 円  
と2023年度の再エネ賦課金単価が求められる。


(筆者は10億単位切り捨てで計算したが、結果は1.40円と同じになった。)


なお、卸電力市場ができて以降、「節約電気料」の算定にあたっては、卸電力市場の取引価格を使っている。(それ以前は、②の算定にはかなり経済産業省・資源エネルギー庁の裁量余地があったと思われる)


今年度の再エネ賦課金が下がった大きな理由は、②の火力発電の節約電気料が大きくなったこと。昨年はウクライナ戦争が勃発し、石炭、LNG価格が高騰したのはご承知のとおり。燃料が高くなった分、節約額も増え、賦課金単価が下がったというわけだ。


見方を変えれば、再エネ電力の買い取り価格と、市場価格の「逆ざや」が縮まったのである。


さて、今後再エネ賦課金がどうなるかだが、経済産業省の資料によると、賦課金は2030年ごろにピークをつけて、次第に下がって、やがては市場価格との「逆ざや」がなくなり2050年ごろにゼロとなる。


なぜ、2030年かというと、「買い取り価格」は事業認可時にきまり、発電事業開始後、その固定価格が20年間にわたり適用されるからだ。買い取り価格が30円から40円程度と高い時期の設備があと10年以上は使われるので、「逆ざや」の解消には時間がかかる。


経済産業省の資料によると、再エネ賦課金の単価がピークをつけるのは2030年で、中位値1.63円/kW時、上位値2.61円/kW時と予測している。


太陽光発電が予測を超える勢いで急増した結果、ピークが早くきたと考えるなら、22年度の3.45円/kW時がピークで、これからは上がっても1.6円/kW程度となる可能性が高い。


化石燃料の高騰による大手電力の電気料は、燃料費調整分(上乗せ)がkW当たり10円近くになっている。(東京電力系小売りの場合)。再エネ賦課金が下がっても、燃料費による上昇で、まったくの帳消しになっていることも付け加えておく。

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