時代遅れの新聞読みブログ

前期高齢者が新聞(紙、電子)・ネットのニュースをフォローします。

中国 「汚染水」強硬姿勢をとる2つの理由 根にある台湾問題と半導体規制

上は福島原発の核汚染水がそのまま放出されるように描いたイメージ図。ALPSで放射性物質が除去される工程はない。2021年4月にはすでに中国のSNSで流布していた。日本語版については、ジャパンファクトチェックが誤りを指摘している。「(画像)日本政府は汚染水を処理せず福島第一原発からそのまま放出」は誤り【ファクトチェック】|日本ファクトチェックセンター(JFC)



福島第一原発の「処理水」の放出が始まってまもなく1週間になる。今のところトリチウムについては、検出限界以下で他の放射性物質も検出されていない。だからとといって、「処理水」を「汚染水」と呼び、声高に日本政府を批判する中国政府が、姿勢を変えることは期待できないだろう。


筆者がそう考えるのは、日本と中国の間に以下にいう2つの対立要因があるからだ。


① 台湾を巡る米中の緊張が強まり、日本は米国との連携を強め沖縄、南西諸島で防衛力の増強に動いている。中国政府は、台湾を武力統一する可能性を排除しないということを言っている。
安倍晋三前首相は2021年4月23日に、「日本は(米国とともに)中台海峡の平和と安全に責任を負う」という趣旨の発言をした。処理水の放出を発表したのは21年4月9日だ。
時期が重なったのは偶然だが、中国政府はこのころすでに、海洋放出を「外交カード」にすることを決めていたと思われる。


②日本は米国の要請に応じて、先端半導体製造装置、材料の中国向け輸出規制を始め、7月23日から、先端半導体の製造装置など23品目を対象に加えた。


半導体は産業のコメであり、ハイテク兵器の能力向上にも大きく関わる。米国のねらいは中国に開発、製造能力をつけさせないことだ。日本は半導体のシェアは小さいが、半導体製造装置、検査装置、材料に強みを持つ。


日本のメーカーは規制によって、中国向けの売上を失うことになるが、米国の強い要請に応じざるをえなかった。


中国は今年4月、日本が輸出規制措置をとる方針を決めたあと、「世界貿易機関(WTO)が調査すべきだ」とWTO理事会に問題提起した。中国は「ルールに基づく多角的貿易を危機に陥れている」との主張だ。


日本からの水産物の全面禁止措置は、日本が半導体製造装置などを規制することへの対抗措置とみることもできる。半導体の仇(かたき)をサカナで取る格好だが、過去の貿易摩擦ではときにみられた構図だ。


野村哲郎農水相は「中国が日本の水産物を全面的に輸出禁止にするとは想定外だった。」と述べたのに続いて、「処理水」を中国側言い分通りの「汚染水」と言ってしまった。緊張感がないこと甚だしいし、この農水相ではとても中国相手の交渉などできないだろう。即刻、辞任するべきだ。


+++++


福島第一原発から出る汚染水は、多核種除去設備(たかくしゅじょきょせつび、ALPS=アルプス)などを使用し、トリチウムや炭素14を除く62種類の放射性物質を国の規制基準以下まで浄化処理をする。これが「処理水」である。

×

非ログインユーザーとして返信する