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中国の経済成長に地方政府の膨大借金の壁 不動産バブル崩壊のツケ重く

YOU TUBE TBS NEWS DIG 中国の国会にあたる“全人代”開幕「GDP成長率目標は5%前後」としながらも…市民の間では消費の低迷が“顕著”【news23】|TBS NEWS DIG - YouTube
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中国の全国人民代表大会(国会に相当)が5日、北京で開催され、李強(リーチアン)首相は、不動産不況や地方政府の債務問題の改善に取り組む姿勢を示し、今年の経済成長率目標を「5%前後」にすると表明した。


地方政府の債務問題は、不動産不況と密接にからんでおり、隠れ債務を含めれば中国のGDP日本円で2,900兆円の半分以上にもなるといわれる。不動産不況から抜け出せない限り、経済成長の足かせになるのは間違いない。


そもそもの話になるが、共産主義国家の中国では、土地は基本的に国(共産党政府)が所有しており、例えばマンションを建設する場合、地方政府が土地の使用権を不動産開発会社に売り、売却収入の一部(3割)を中央政府におさめ、残り(7割)を地方政府に「留保する」ことになる。(マンション購入者は、60年の利用権と建物の区分所有権をもつ)


地方政府は、留保した7割を元手に次の開発案件に取り掛かることができる。不動産価格が上昇すれば、利用権の売却収入で地方政府の財政は増え続け、何の問題もなかった。地方政府と開発会社が、将来得られる収益を前提に、公債とは別に一種の受益証券(利回りが高い)を発行して、広く個人から資金を調達するということも行われていた。


日本のバブル期を思い出せばわかることだが、不動産価格が上がっているうちは、カネを貸した方(出資者)も借りた方もハッピーなのだが、例えばマンションの供給過剰で、この歯車が逆に回り始めると、悲劇的なことになる。


売れないマンションが増える一方で、発行した証券の利払い、償還ができず、地方政府は財政難に陥り、開発会社の債務は膨れ上がる。地方政府の中には、日本でいう一般会計が圧迫されて、公務員給与の減額や、支給が遅れているところも出ているという。


「間もなく飢え死にする」嘆く公務員 不動産不況が襲う中国のリアル:朝日新聞デジタル


日本の感覚なら驚くべきことだが、中国全土で、売れ残りのマンション(「鬼城」という)は2,000万戸にのぼるといわれる。その一方、日本でいう手付金(前金)を払ったのに、デベロッパーが資金繰りに窮して、工事を放棄した物件も数多くある。


未完物件のローンの不払いも起きており、中国政府は社会不安をおさめるために、業者に資金繰り支援をしているが、そのカネはまず返ってこないだろう。


IMF (国際通貨基金)によると、中国の地方政府の債務額は日本円で700兆円(約35兆元)にのぼる。このほかに、地方政府が事実上の債務保証をしている債務(隠れ債務と呼ばれている)が、1,000兆円以上あるといわれる。


その全てが返済困難というわけではないだろうが、隠れ債務を含めれば、中国のGDP2,900兆円(19兆3,700億ドル)の実に半分以上になる。中国の不動産投資はGDPの25%を超えたこともあった。それが凍りついたままだと、低成長が続きデフレに陥った日本の二の舞いになるおそれがある。


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参考資料


中国の不動産に関する法制度と市場 周藤 利一(すとう としかず)
https://www.retio.or.jp/research/pdf/overseas_study_11.pdf

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