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40年超原発 償却済み原子炉で電気代を安くできる?廃炉費用も稼ぐ必要

YOU TUBE YTV NEWSより 高浜原発2号機が約12年ぶりに再稼働 来月16日に営業運転予定 関電の7基全てが再稼働 - YouTube
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関西電力は15日、運転開始から47年超の高浜原発2号機(福井県、82.6万キロワット)を11年9か月ぶりに再稼働させた。関電は所有する原発7基すべてが新しい規制基準の下で再稼働したことになる。(1基は定期点検中)


関電は、ほぼ減価償却の終わった原子炉を運転することで安い電気を供給できることになる。周波数が関電と同じ60ヘルツ地域にある、中部電力、中国電力、九州電力の各社は戦々恐々としているだろう。


原発の主要設備の償却年限は定率法で15年と定められている。原発の心臓部にあたる原子炉、原子炉格納容器は15年で償却がおわる。それ以降は償却費は発生しない。


原子炉から熱を取り出す、蒸気発生器や熱交換器は使うほど損耗する。会計上の償却期間が15年だとしても、一定期間で交換の必要があり、そこから新たな償却が始まる。


15年たったあとも設備償却費はそれなりにかかるが、用地造成費も償却済みなので、電力料金に占める設備コストはかなり安くなるだろう。(ただし、将来必要になる廃炉費用を引き当てなければならない。)


つまるところ、償却のすすんだ古い原発を稼働すれば、利益が増えるのはある意味、当然のことだ。


朝日新聞の16日朝刊3面記事によると、関電は今年度、原発の稼働率が前年より20ポイントほど高い70%程度になるとみており、経常利益を1590億円押し上げるという。24年3月期は電気料金値上げもあり、過去最高の4250億円になると見込んでいる。


関電の7基「フル稼働」へ 過去最高益を予想、課題はまたも先送り:朝日新聞デジタル


付け加えれば、関電は原発稼働によって、値下げ余地が生じるだけでなく、管外に供給する余力ができる。しかし、昨年、関電主導で西日本4社で価格カルテルを結んでいたことが発覚しており、関電はおいそれと管外に競争を仕掛けられないだろう。


というのは、関電は違反を自主申告したため、課徴金などの処分は免れたが、他の電力各社はカルテル(談合)に乗ったばかりに、合わせて1、000億円を超える課徴金を払う羽目になったからだ。


課徴金を支払わずにすんだ関西電力が価格競争を仕掛ければ、それこそ仁義なき闘いになるだろう。


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原発を保有する電力各社は、福島原発の事故以降、津波対策のための堤防の新設やかさ上げ、耐震強化などなど、新基準に対応するための設備投資を行った。それら設備投資を回収(償却費用の捻出)するためにも、古い原発を動かす必要がある。


一方、原発稼働延長反対派は、古い原発に新たなカネをかけて動かすなといっている。議論が逆で当然ながらかみ合わない。


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高浜2号機は運転開始から47年たっているが、福島原発事故後、新基準への審査を待つ休止期間が11年あるので、稼働期間は40年に満たない。


原子炉の停止期間は、原子炉圧力容器が高速中性子の照射を受けないので、停止期間は稼働期間に入れないことになった。朝日新聞の記事にある運転開始47年だと、あと13年しか残っていないことになるが、稼働期間で数えると、20年以上運転できることになる。


なお、原発の停止期間は償却費用は発生しない。設備の損耗がないとみなすからだ。


原子炉のもっとも内側にある原子炉圧力容器は、高速中性子などの放射線にさらされ、弱くなる(脆化する)。安全性を確認するため、あらかじめ原子炉圧力容器内に材料試験片を入れておき、定期的に炉外に取り出し、試験をして強度を調べる。


原子炉がたとえ脆性劣化しなくても、ゴムや電線、鉄パイプなどは使われなくても劣化するので、古くなれば危ないという意見がある。


運転延長に反対の立場の朝日新聞は、以前に科学面で、中性子照射試験片の説明をした記事を掲載していたが、最近は見ていない。


なお、40年超運転に備えて、高浜原発3号機と4号機は2026年に蒸気発生器の取替工事を行う予定だ。必要な更新工事はやっていることも報じる必要があるのではないか。

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