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佐渡金山 文化的価値を認められず? 不備指摘され 世界遺産推薦やり直し

(佐渡金山の「道遊の割戸(どうゆうのわりと)」 金を求めて人力で山を掘り割った跡)


末松信介文部科学相は28日、政府が世界文化遺産に推薦した「佐渡島の金山」(新潟県)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)から推薦書の不備を指摘されたため、推薦書を再提出すると表明した。


佐渡金山は「相川鶴子(つるし)金銀山」と「西三川(にしみかわ)砂金山」の2つの江戸時代の鉱山遺跡で構成。17世紀には金の産出が世界最大級だったとされる。


国の文化審議会が今年2月、ユネスコに推薦書を出していた。佐渡金山については、韓国が戦時中に朝鮮半島出身者が強制労働させられたと主張して、推薦しないよう求めていた。政府は一時、推薦を見送る方向だったが、安倍晋三元首相らが「韓国との論戦を避ける形で申請をしないというのは間違いだ」と批判、地元の意見も踏まえて政府は推薦を決めた経緯がある


推薦対象は、伝統的手工業で世界最大級の鉱山を経営したとされる江戸時代に時期を絞り、明治以降の近代鉱山としての歴史は(朝鮮半島から動員された労働者が戦時中を含めて)外したいきさつがある。


世界遺産登録はユネスコ世界遺産委員会が決めるが、その前に諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)が現地調査して登録にふさわしいかどうか評価する。推薦の再提出は、イコモスの調査前に推薦が却下されたことになる。


末松文化相は推薦の不備な点を明らかにしていないが、①江戸時代に世界最大級の金山だったことの説明が十分でなく、世界遺産に指定するほど文化的、普遍的な価値が認められない②世界遺産は、平和な世界の構築に寄与するため、世界各国が協力して保護するもので、韓国の反対意見を考慮して推薦の「取り下げ」を求めた――のいずれかだと推測される。


佐渡に残る江戸時代の金山の遺跡は、「道遊の割戸(どうゆうのわりと)」の採掘跡などがあるが、選鉱や精錬を行った建物(佐渡奉行所)は焼失して残っていない。(戦後に再建された奉行所がある)多くの見どころは近現代の坑道や選鉱所の跡地である。


推薦は前述したように、「江戸時代」に限っており、本来的な「文化的、普遍的な価値」が認められなかった可能性がある。「堂々とユネスコで歴史問題の議論をして登録を働きかけるべき」(高市早苗自民党政調会長)と自民党タカ派は意気込んでいたが、肩透かしを食ったかもしれない。


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政府は9月までに推薦書の暫定版を提出することしている。今年、ロシアで開かれる予定だった世界遺産委員会は、ウクライナ侵攻の影響で延期されており、こんごの遺産審査に影響する可能性がある。


韓国・朝鮮日報(電子版)は27日、「朝鮮人が強制労役した佐渡金山を来年にユネスコ世界文化遺産に登録するという日本政府の計画が事実上頓挫した。日本が提出した世界文化遺産推薦書に不備な点があるとしてユネスコが審査手続きを中断したためだ。日本の文部科学省はユネスコ事務局に再考を繰り返し求めたが、27日に最終不可通知を受けた。」と報じている。


推薦書の不備な点については日本のテレビ、新聞と同様に具体的には書いていない。

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