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岸田首相 輸入小麦売り渡し価格 据え置き指示 売買差益で調整

(農林水産省資料より、小麦の種類と用途、その11:小麦の自給率:農林水産省 より)


岸田首相は、15日開かれた政府の「物価・賃金・生活総合対策本部」で、10月に改定する輸入小麦の売り渡し価格を現行と同水準に据え置くよう指示した。


小麦の国際価格はロシアのウクライナ侵攻後に高騰し、円安の影響もあり前回4月の改定時に17.6%引き上げた。現在、国際市況は比較的落ち着いた水準(ウクライナ侵攻時とほぼ同じ)になっているが、前回の積み残し分や円安の影響もあって、本来なら現行より2割程度高い価格になるという。


小麦は政府が一括して海外(米国、カナダ、豪州)から買い付け、国内製粉会社に売り渡している。この価格を引き上げると、小麦粉の価格に跳ね返り、最終的には小麦粉やパン、麺類などの値上げにつながり家計を直撃する。


参院選挙に物価抑制を掲げた岸田政権としては、年に2回にわたる大幅引き上げは避けたいところ。14年ぶりの価格抑制指示となった。


日本が年間に消費する小麦は、輸入小麦450万トン、国産小麦100万トン(2021年)で、輸入に9割近くを頼っている。政府の売りわたし価格は国際市況や輸送コスト、為替レートなどを勘案して、年に2回(4月と10月)改定される。


政府の売り渡し価格は、輸入小麦の買付価格に輸送コストや諸費用、一定の利ざや(マークアップ)を上乗せして、決める。今回は、この利ざや部分を圧縮することで、売り渡し価格を据え置く。


マークアップによる売買差益は年800億円程度(2020年度)で、国内小麦農家への補助金(直接払い)の原資となっている。国産小麦はコスト的に輸入小麦に立ちうちできず、補助金で小麦生産者の経費や、所得見合い分を補償している。


今後、補助金に影響が出ないよう一般会計からの支出を増やすなどの措置が必要になることもありうる。


しばしば、国産小麦をもっと増やすべきだという議論が国会でもあるが、現在でも国内出荷額(約600億円程度)に匹敵するか、上回る補助金を出していることを考えると、国産小麦を増やせばいいというものではない。


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