時代遅れの新聞読みブログ

前期高齢者が新聞(紙、電子)・ネットのニュースをフォローします。

孫氏の「見込み違い」ソフトバンクG 米社投資で 1兆6000億円溶かす 頼みは英アーム社の株上場

YOU TUBE ソフトバンクグループの決算説明会 虎の子のアリババ株は損失処理でほとんどを売却した。ソフトバンクグループ株式会社 2023年3月期 決算説明会 アーカイブ動画 - YouTube


+++++++
ソフトバンクグループは11日に発表した23年3月期決算(国際会計基準)で、9,700億円の純損失(赤字)を計上したが、そのうち6,000億円は傘下にある米シェア・オフィス大手ウィワーク社への投融資の損失だった。


毎日新聞(13日、電子版)が、ソフトバンクG経理統括の君和田和子常務による説明として伝えた。記事によると、ウィワーク社に関連するソフトバンクGの累計損失は約1兆6700億円に達している。
ソフトバンクG「ウィーワークまた損失6003億円」大誤算 | 経済プレミア・トピックス | 山口敦雄 | 毎日新聞「経済プレミア」


ウィワーク社の株式は現在0.375ドル程度と1ドルを大きく割り込んだ水準で推移している。時価総額は数百億円相当にとどまっている。孫正義氏(会長兼社長)はウィワークへの投資は「わたしの失敗だった」といっているが、業績が回復しないと、総額2兆円といわれるウィワークへの投資が水泡に帰する可能性もある。(すでに8割ほど溶かしているが)


ウィワークは、起業家向けにオフィスを貸し出す「シェアオフィス」の草分け。孫正義氏が成長性に目をつけて、ソフトバンクGの主要ファンドであるビジョン・ファンドを通じて投融資を増やしていた。ところが上場申請を控えていた2019年、創業者による不正会計などの問題が発覚、上場計画は白紙となった。


ソフトバンクの支援によって、21年に上場にこぎつけたが、新型コロナの世界的流行や、オフィス需要の低迷もあって、経営悪化に歯止めがかからないまま、株価も大きく下げていまに至る。


ソフトバンクGは、2020年3月期決算でウィワークに関連して4,900億円の赤字を計上している。この決算発表時に、強気でなる最高経営責任、孫正義氏はウィワークの投資は失敗だったと認め、「(ウィワークに投資した)わたしがばかでした。わたしが失敗しました。」と率直に語っている。


ソフトバンクGの投資会社としての強みは、孫正義氏の「目利き力」にあった。最近の一例をあげると、中国のIT巨人となった、アリババの草創期に創業者のジャック・マー氏と個人的にも親交を結び、大株主となったことだ。


アリババは中国のITを牽引して成長、米市場に株式を上場し、ソフトバンクGの投資も大きな成功をおさめた。その後、ソフトバンクGが投資会社として拡大したのも、ばく大な含み益のあるアリババ株があってのことだ。


そんな孫氏だが、ウィワークについては、「見込み違いをした」と認めざるをえなかった。虎の子のアリババ株も、ウィワークなどへの投資損失の穴埋めのため、ほとんどを売却する羽目になった。


投資パワーの大きな源泉を失ったソフトバンクGが、今後の期待をかけるのは、半導体設計の英アーム社だ。消費電力が少ないスマホ用半導体(設計)に強みを持つ。年内に米市場に上場する計画で、評価額600億ドル(約7兆3,400億円)程度の株価がつくことを期待しているという。


ソフトバンクGがアーム社を買収したのは2016年。日本の企業による買収としては最高額の約3兆3000億円だった。もくろみ通りにいけば兆円単位の利益(含み益の可能性もある)を手中にできる。あとは、アーム社の上場益をフイにするような第2、第3のウィワークが出ないことだろう。


ソフトバンクGの後藤芳光・最高財務責任者(CFO)は、決算発表後の質疑の中で「AI革命の本格始動を背景に攻めをうかがう。それが今期の新しいポイントだ」と述べた。確かにマイクロソフトなどの対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」はすでに実用の域に達しているが、ソフトバンクのAI投資の成果はいまだ具体的な形として世に表われてはいない。


後藤氏はAIについて、「彼(孫氏)の中での高揚感は凄まじいものがある」と話した。孫氏の高揚感はウィワークに投資したときと、なにがどう異なるのか。孫氏自身に説明してもらいたいものである。


++++++


ウィワークの企業価値は不正会計が発覚する前は470億ドル(当時の為替レートで約5兆2000億円)と評価されていた。ソフトバンクGの資金支援で2021年10月に上場にこぎ着けたが、その段階で時価総額は約90億ドル(同約1兆円)と5分の1になっている。(いまはそのまた20分の1かそれ以下になっている。)


この株価の落差については、ウィワークをIT企業とみて高値で評価したのがそもそも間違いで、不動産業(オフィススペース)再貸業として見た場合は、5分の1でもおかしくないという見方がある。孫氏がIT企業とみて投資したとすると、うまく乗せられたのかもしれない。

×

非ログインユーザーとして返信する