時代遅れの新聞読みブログ

前期高齢者が新聞(紙、電子)・ネットのニュースをフォローします。

スリランカ財務相1日で辞任 経済危機深刻化 外貨不足に中国の「債務のわな」指摘も


(上の地図は外務省ホームページから転載しました。)


ロイター通信5日電子版などによると、経済危機にあるスリランカのアリ・サブリ財務相が5日、就任後1日で辞任した。議会では少なくとも41人の議員が与党連合から離脱、大統領の率いる政権は少数与党に転落した。


首都コロンボなどで、高インフレや石油不足による停電などに対する抗議デモが激しくなっており、3日と4日の2日間で、全閣僚26人と中央銀行の総裁が経済危機の責任を取る形で辞任していた。


後任の財務相が1日で辞任したことで、ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の政権運営は厳しさを増している。


スリランカの主力産業の観光業は、新型コロナウィルス禍で大きな打撃を受け、外貨不足による経済の混乱、政情不安が続いている。


イランから石油を輸入するため、輸出する紅茶と引き替えに石油を買う「バーター取引」を始めたが、ロシアのウクライナ侵攻に伴う石油価格上昇で「窮余の一策」にも限界があったようだ。


火力発電所が稼動できず、いまは全土で一日13時間の計画停電が行われているという。


主要輸出品の紅茶は、ラジャパクサ大統領の政策により、全面的に有機栽培に切り替えたが、急な転換による収量の低下=不作を招く結果となった。


昨年10月には一部、化学肥料の輸入を認めることにしたが、購入する外貨もない状況とみられる。


コロナ禍以前から、スリランカが中国の「債務の罠」に捕らえられ、経済的苦境を招いたとする指摘がある。


2009年に長い内戦が終結したあと、スリランカ政府は中国からの借款(借り入れ)で港湾や空港、道路、都市整備を進めてきた。


スリランカの中国に対する債務は33億8800万ドル、日本円で4000億円近くにのぼるといわれる。


中国の金利は一部6%を上回る高金利で、港湾や空港を整備したものの利用がふるわず(新設空港は世界一ひまな空港と言われた)借金の返済が難しくなった。


南部のハンバントタ港は中国への返済が滞ったため、中国国有企業に運営権を売却し、2017年7月から99年間にわたりリースされることになった。


借金のカタに取られた形である。


ロイター通信によると、スリランカの食品のインフレ率は3月に30.2%に達し、通貨スリランカルピーは、中央銀行による切り下げを含めて1カ月間でドルに対して40%下落したという。


同通信によると、スリランカの対外債務は約440億ドルに上る。国内総生産(GDP)比120%に達し、恒常的に貿易赤字を出していることから、債務再編は必至とみられる。


ロイターは「中国から米金融機関に至るまで、債権者は元本削減(ヘアカット)を迫られるだろう。」としている。


参考コラム:スリランカ危機が世界に警鐘、インフレの政治的リスク | ロイター
スリランカ、化学肥料などの輸入禁止を全面解禁へ(スリランカ) | ビジネス短信 - ジェトロ
(中国特集)スリランカから見た中国 – 一般社団法人 霞関会
+++++


日本は中国と同程度(スリランカの対外債務の10%)の借款を供与しており、仮にヘアカットとなると応分のキズを負うことになる。


日本のスリランカへの金利は中国に比べてかなり低いようだ。

×

非ログインユーザーとして返信する