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福島第一の放射性デブリ 取り出し難航も 51年廃炉完了は計画通りの不思議(または欺瞞)

福島第一原発2号機の燃料デブリの状況、圧力容器底部に多くある状態で格納容器内には少ない。東京電力資料より燃料デブリ取り出しの状況 - 廃炉プロジェクト|廃炉作業の状況|東京電力ホールディングス株式会社


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福島第一原発の2号機の残存核燃料(燃料デブリ)の試験的な取り出しが難航している。炉心溶融を起こした1、2,3号機には合わせて880トン(推計)の燃料デブリが残る。本格的に取り出す場合、一日100キロと見積もって、フル稼働しても全量を取り出すには8800日、24年はかかる。


報道によると、東京電力は51年までの廃炉完了という工程全体への影響はないと説明しているが、現場で作業している技術者はそれほど簡単ではないことを実感していると思われる。東電の説明は、地元への影響や批判を避けるためだろうが、現場の声を聞かない官僚的体質が抜けきっていないようだ。


デブリは、燃料棒の中にあるウラン235やウラン238、プルトニウム239、燃料ペレットをおさめるジルコニウム管、制御棒のホウ素、鉄(原子炉はステンレスでできている)、コンクリートなどが、高温で溶け混んでできた、複雑なーー成分はデブリを調べないとわからないーー残存物だ。強い放射線を出し、人間を寄せつけない。
(一部に即死レベルの高濃度デブリがある。電子機器も壊れるレベルか?)


ウラン235はいまも核分裂をしてトリチウム汚染水を作り出している。(放射性物質のセシウムなどもつくる。これは除去装置ALPSで除去している)


2号機の燃料デブリの試験的な取り出しは数グラムで、当初は2021年度に始まる予定だった。しかし、取り出しに使うロボットアームの開発が遅れ、2度延期された。朝日新聞記事によると、ロボットアームの動作精度に不十分な点があるためで、別途開発していた「釣りざお式装置」で今年10月の取り出し着手をめざすという。
福島第一2号機のデブリ試験取り出し3回目の延期へ 装置の精度不足 [福島県]:朝日新聞デジタル


資源エネルギー庁の資料によると、2号機から着手したのは、水素爆発を起こさなかったためだ。原子炉建屋の気密性が比較的よく保たれており、取り出し作業のときに、放射性物質が屋外に出てしまうリスクが小さい。テレビカメラなどを使った、デブリがどこにどのくらいあるかの調査も進んでいる。


2号機で取り出す量を徐々に増やした後、30年代初頭に3号機での燃料デブリの取り出しを始める。その後、もっとも放射性物質の濃度が高い1号機からの取り出しに着手する。


ウラン235の半減期は約7億年と想像もつかないほど長い。50年や100年ではデブリから発生する放射線の強さは変わらず、1号機より2号機、2号機より3号機とデブリ取り出しの難度は上がる。数グラムのデブリの取り出しが難航しているのに、予定通りに廃炉作業が完了するというのは考えにくいことだ。

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